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むねすけさん

ブログで創作をやっていましたが、誰にも相手にしてもらえないため、こちらに辿り着きました。 面白い物語、少しほっとしてもらえるようなお話を書きたいと思っています。

性別 男性
将来の夢 作家になりたいですが、 それが無理でも、何かの原案家とか、 自分の考えた物語が世に出ること。
座右の銘 我思う、故に我在り。

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カバディーカバディー・コメディーコメディー

18/06/25 コンテスト(テーマ):第157回 時空モノガタリ文学賞 【 コメディ 】 コメント:2件 むねすけ 閲覧数:232

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「カバディーとコメディー聞き間違えちゃった作戦?」
「そうです!!」
 先輩にお小遣いはたいてホテルのケーキバイキングを奢る。逃げも隠れもモンブランだ。断るも拒絶するもレアチーズのパンナコッタだ。意味などない、感じれば甘い、のだ!!
「だってさヤッちゃん。あんた東堂女子に通うんでしょ?」
「はい」
「ヤッちゃんのお母様はカバディー部創部者で、今も監督さんよ?」
「はい」
 不味い。ケーキは美味しいけど、話の流れが不味い。甘味の麻酔が回りきる前に押しきらないと。
「先輩、私、初デートで彼氏が組んで来ようとした腕、反射で避けちゃったんです」
「ははは」
 笑うな、この、まだまだ。
「小学生の頃、アンティに掴まれないように体ヌルヌルにするって、山芋で全身コーティングされたことあるんですよ。痒いのずっと痒いの」
「ははー、アンティってなんだっけ? カバディーのルールすぐ忘れちゃうんだよね」
 そこじゃない!!
「先輩、英才教育かなんだか知らないけど、一分砂時計往復までカバディーカバディー言わされるんですよ。二分間ですよ、二分間、おかげで脳に酸素いきわたらなくって、私九九憶えたの三年生なんだから」
「うーん」
 よし、敵は落ちかかっている。カバディー地獄から生還するのだ。インド人もびっくり、カバディーの神童土屋弥英子は女子大でコメディー研究サークルに入るのだ。お笑いの劇場に通って、笑点の観覧に行ってやる。きっとマニアの先輩にバスター・キートンを見るように言われるだろう、あぁ何それ。
「先輩、私、カバディー以外の世界を知らないんです。先輩、私を連れだして。私、もう嫌なの。カバディーカバディー言いながらアンティタッチしまくったり、レイダー捕まえたり、もう、ねぇ、先輩。お願いします」
「うーん。ま、力になってあげようか? でも、ヤッちゃん」
「はい」
「私、何すればいいの?」
「え」
「私、コメディー研の知り合いいないよ?」
「えええええええ」
 ケーキバイキング代二千八百円を無駄にして、私は独立心を獲得した。人に頼ってちゃいけないよな。人は皆一人。そうだ。東堂女子大に入学する。サークル勧誘の声にコメディーをカバディーと聞き間違える、私一人で遂行できるミッションだ。うっかり入部の判をついてしまってから、自分の耳を懲らしめてやればいい。真っ赤に腫れた耳たぶで、母さんとお婆ちゃんを牽制してやる。

「カバディーとコメディー聞き間違えてコメディー研究会に入った?」
「うん、つい、耳はもうこのとおりよ、ははは、悪い子よね」
「弥英子」
 いけない。母さんが弥英子弥英子弥英子……。と連呼しないで単発に私の名を呼ぶのは何年ぶりだろう。
「ヤッちゃん。そんなに嫌だったかね」
 でもよし、お婆ちゃんは孫の可愛さに敵いやしないんだから。
「そうなの、お婆ちゃん。もう私、カバディーまみれの生活にうんざりなの。大学で新しい世界を見たいのよ」
「弥英子」
 母さんが椅子から立って迫ってくる。ちょ、ちょっと、まさか実力でねじ伏せるつもり、ぼ、暴力反対。母さん握力和田アキ子なんだから。ちょっと。私は距離をとった。母さんは瞬間初速を蹴って私の体を捕縛する。敵わねー。
「弥英子。逃がさないわよ」
「母さん、母さん。お願いします。カバディー、やめさせてください」
 もう作戦も何もない。感情で訴えかけるしかない。
「母さん、私、カバディー楽しくないのよ!! 母さんが傷つくから黙ってたけど、カバディー、変だよ!!」
「弥英子ぉ」
 母さんは両の手の力で私の肩をキリキリ締めながら言う。
「変なのがいいんじゃないのぉ」
 キリキリ。母さん、目に白目が消えてるよ。怖い、お婆ちゃん、助けて。
「お、お婆ちゃん。なんとか言って!! 私、カバディーのせいで大学生活楽しめないよ、人生も、楽しめないよぅ」
「でもね、ヤッちゃん。アジア大会優勝するまで我慢すれば、せめて。メダル持ちの人生は明るいと思うわよ」
 お婆ちゃんまで、なんてこと。父さん、なんで癌に負けちゃったのよぅ。
「オ、オリンピックメダルじゃなきゃ、大して効力ないよ。きっと」
「アジア競技大会を馬鹿にするの?」
 母さんの手にさらに力が漲る。い、や、だ。
「サザエさん読んだでしょう。マスオさんもテレビで見て感激した大会よ?」
 そうだけど、そんなシーンあるけど!!
「母さん、どうしたらわかってくれるの」
 母さんはため息を短くついて、提案をくれた。
「うちのチームと、弥英子のコメディー研で試合をしましょう。あなたのチームが勝てば、好きになさい」
 
 勝ったる、カバディーは一人の力で勝てるって、教えてくれたのは母さんだ。
 カバディーカバディー……。コメディーコメディー……。
「弥英子、カバディーって言いなさい」 

 


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このストーリーに関するコメント

18/06/27 冬垣ひなた

むねすけさん、拝読しました。

カバディー、インドの国技なのですね。アンティ(守備側)7人vsレイダー(攻撃者)1人で、「カバディー、カバディー」言いながらアンティにタッチすると点が入る。アンティはレイダーが自軍へ戻るのを阻止する……そんなルール。
登場人物のコミカルなやり取りが楽しかったです。弥英子ちゃんが無事コメディー研に入れるといいですね。

18/06/28 むねすけ

冬垣ひなたさん
コメディーカバディーの思いつき言葉遊びから楽しい話にできないかなーと思いつきのスピード感頼りで書ききりました。
カバディーの知識は検索頼りで浅いですが、きっとみんなも知りはらへんやろうし、それよりマイナースポーツの英才教育のおかさしさや家族の不可思議なユーモアを出せたらいいなと
やり取り楽しんでもらえたなら、大成功です
主人公はカバディーの神に愛された神童ですので、きっとカバディーを続けることになりますよ(笑)
コメントありがとうございます

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