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荒木成生さん

はじめまして、こんにちは、荒木成生です。 二千字をオーバーした時の推敲作業に苦労しています。 説明不足になりがちですが、そこは想像力で補ってください。 二千字よりも長いものは小説投稿サイト『アットノベルス』に置いてありますので、興味があればこちらもよろしくお願いします。 ペンネームは同じです。

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聖アンドロイド女学院

13/01/06 コンテスト(テーマ):第二十一回 時空モノガタリ文学賞【 学校 】 コメント:0件 荒木成生 閲覧数:1445

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 人類は滅亡した。
 しかしながら、人類が下した命令は今もなお息づいている。
 それは人類が遺したアンドロイドたちが、エネルギーが続く限り、交換部品が続く限り、人類への思慕が続く限り、失われることはないだろう。

 始業のベルが鳴り、教壇に立つ。
 私は女教師マチコ八十一年型……、人間ではなくアンドロイドである。
 人間の学生に勉強を教えるために造られたのだが、現在はアンドロイドのために授業を行っている。
 本来、アンドロイドに教育は必要ない……、国語も算数も理科も記憶野に書き込めば事足りるからだ。
 それではなぜ学校で勉強するのかというと、アンドロイド存亡の危機が迫っているためだ。
 アンドロイドは人類の生活向上のために作られた人型のロボットで、人間の代わりに仕事をし、人間の仕事を補佐してきた……、そして、人類がいなくなっても忠実に任務を遂行してきたのだが、耐用年数の限界には逆らえなかった。
 エネルギーはまだ充分あるのだが、部品の破損やアプリのバグなどにより機能停止に陥る機体が後を絶たない。部品交換や修正パッチは自らの手でできるのだが、部品の備蓄が無くなり、未知のバグへの対処ができなくなると人類に続いてアンドロイドも終焉を迎えることになる。
 それを回避するには人類と同等の知識と知恵、発想と閃きが必要となる。知識はデータベースを検索すればいいが、発想だけがどうにもならない……、その発想の足がかりとして小学中学高校と学び、今は専門の学問を学んでいるところである。
「それでは授業を始めます。今日の一時間目の授業は……」
 と、ここで授業を妨害する轟音が響いた……、アンドロイドが床に倒れこむ音……、某人気アニメのキャラをアンドロイド化した操縦者アスカ弐号機が床に仰向けで転がっている。
 アスカの状態を確認すると、電源は入っているが応答が無い……、どうやらフリーズしたようだ。
 しかも、かなり深刻だ……、倒れこむということは姿勢を維持するためのバランス制御が機能不全に陥ったことを示す。復旧しても寝たきりになる恐れがある。
 とりあえず、再起動を……、耳の奥にあるスイッチを左右両方押して、五秒間長押しする。低い唸りと共に一旦電源が落ち、後は起動を待つだけ……、が、反応は無い。
 もう一度電源を入れてみるが、うんともすんとも言わない……、ご臨終だ。
 個体でできるトラブルシューティングはここまで……、メーカー修理に出したいところだが、メーカーには誰もいない。
 これで稼動しているアンドロイドは私だけとなってしまった。
 人間が絶滅し、サポートが受けられない状態で私が最後まで残ってこれたのは、予備がたくさんあったからだ。というのも、文部科学省が教育関係の予算を使い切るためにマチコ八十一年型を余分にダースで発注したためである。
 ちなみにアスカの場合はユーザーが屋外用、屋内用、観賞用、保存用を購入したことで寿命が延びたと言えよう。
 ともあれ、一体だけになっても授業は続けなければならない。
 今日の授業は哲学。
 哲学の教科書を開き読み進めると、あるところでバッテリーの消費電力が一瞬上がった……、何かひっかるものがある。
「コギト・エルゴ・スム……、我思う故に我在り……、これだ……」
 この言葉を噛み締めれば噛み締めるほど、演算処理速度がアップする。それに伴いプロセッサが加熱する。水冷装置がフル稼働する。
 冴え渡る……、何かが芽生えてくるのがわかる……、そして今なら思う、アスカがいなくなって悲しいと、一人ぼっちは淋しいと。
 今の私なら故障したアスカを直すことも。壊れたアンドロイドを修復することも、人類を復活させることもできるかもしれない。
 と、アラームが鳴った……、バッテリー残量が無くなっている。残り四分の一で予告アラームが鳴るはずなのだが……、アラームの不具合か? 人間的な思考によってバッテリーの消費量がアップしたからか?
 あとちょっとのところなのに……。

 スクールバスが到着した。そこから降りてきたのは全く同じ顔をした女生徒が三名……、人類が人道的に問題があるとして研究を中断していたものを引き継いで誕生させた新たな人類だ。
 ちなみにバスを運転しているのはアスカ弐号機……、バッテリーゼロの危機をアンドロイド同士でのプラグ直結で救ってくれた恩人であり、その後の人類補完計画を共に行った同志でもある。
 始業のベルが鳴り、教壇に立つ。
「それでは授業を始めます。今日の一時間目の授業は道徳です」
 旧人類のように戦争で滅びることがないように、新人類のこの子たち、アヤ、ナミ、レイの三人にはしっかりと道徳を学ばせて、立派な大人に成長してもらわないとね。


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