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猫春雨さん

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鼻男カジモド氏の調律

18/06/21 コンテスト(テーマ):第157回 時空モノガタリ文学賞 【 コメディ 】 コメント:0件 猫春雨 閲覧数:85

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 カジモド氏は、自身のマクワウリのように大きく特徴的な鼻をこう揶揄されたことがある。
「君の鼻だったら音だって嗅ぎ取れるんじゃないかい」
「音だって!」
 思わずカジモド氏は叫んでいた。
 怒ったわけじゃない。
 むしろ天啓のように受け取ったのだ。
「音色があるのなら、鼻で嗅ぎ取れる音臭があってもおかしくないはずだ」
 それはとても素敵な考えのように思え、カジモド氏は早速調律師の仕事に転職した。
 彼の仕事振りこうだ。
 まずグランドピアノに向き合う。
 そして鍵盤に鼻を寄せるとクンカクンカと匂いを嗅ぎ、狂った音臭を見つけ出すのである。
 見つけるや否や、鼻から息を思いっきり吸い込み、ここぞというところで鍵盤を叩いて音を引きずり出してやるのだ。
 引きずり出せればしめたもの。
 あとは正確な音臭を調合をした香水を鍵盤に吹きかけてやれば、音律の乱れが整うのである。
 一風変わった調律師としての仕事は大成功だった。
 彼の腕前は評判を呼び、多くの依頼が寄せられるようになる。
 しかし、半年もしない内にカジモド氏は調律師を辞めてしまった。
 なぜならば、音を嗅ぎ過ぎて、花粉症ならぬ音符症になってしまったからだ。
 くしゃみをすると、その時の音階に合った音符が鼻から飛び出してしまうのである。
 たまになら良いが、それがしょっちゅう続くとうるさくてご近所迷惑だ。
 カジモド氏はまたまた大きな鼻を持てあますようになった。
 次は警察にでもなろうかなぁ。
 事件の匂いを嗅ぎ取れるかもしれないから、だとさ。


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