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石蕗亮さん

占師。および魔術師。 WEB幽にて怪談投稿してました。 弟子育成の経験や実体験を基にした不思議な話を中心に書いていきたいです。 沢山の方に読んで頂き、反論含めコメント頂けると幸いです。

性別 男性
将来の夢 作家、起業
座右の銘 人は言葉に置き換えれるものしか理解できない。置き換えた言葉でしか理解できない。

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ボトルレター フロム スカイ

18/05/29 コンテスト(テーマ):第156回 時空モノガタリ文学賞 【 浮遊 】 コメント:0件 石蕗亮 閲覧数:188

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 昔昔の御伽話
天気の良い日に雲も無いのに陰る時
空から何が降ってきても触ってはいけません。
どんな言葉が聞こえて来ても一切答えてはいけません。
もしもそれらに関わればその日は家に帰られない。
その後も一生帰られない。
帰ってきても誰の目にも見えない触れない聞こえない
さみしいお化けのできあがり。

姉が行方不明になってからもうすぐ7年になる。
7年経つと失踪宣告で死んだことになる。
当時13歳だった姉は特に学校でも家庭でも特に問題は無く、誘拐も考えられたが身代金の要求も無く、不審者情報も無く、手掛かりがないまま捜査も打ち切られた。
行方不明当日
快晴の空、夏休みを間近に控えた朝、いつものように何ら変わらず学校へ行ったはずの姉は学校に着かなかった。
学校からの連絡で姉の不在が判明し家族で探したが見つからず警察へ届けた。
事件に巻き込まれたのか、自分の意思で居なくなったのかも解らず有耶無耶なまま捜索は終了された。
両親は仕事以外の時間を捜索に費やしていたが、何の手掛かりも得られず、今ではネット上での呼びかけをメインにしていた。
ただひとつ
姉の当日の所持物と衣類一切が道端で発見された。
衣類の中には下着も残されていた。
というか、ご丁寧に着た状態で中身だけ抜いたように並べられていた。
暫くワイドショーを賑わしたが今では誰も気にしなくなっていた。

ある夜
コンビニへ出かける途中ふと夜空を見上げると綺麗な満月が浮かんでいた。
満月の光を受け、雲が宵闇の残照を受け止めているかのような明るさで浮かんでいた。
こんな夜は明るくて、一晩中深夜の暗闇なんて来ないと思いながらコンビニへと向かった。
ふいに道の先が暗くなった。
街灯でも切れたかとも思ったが、その暗がりは自分の方へと迫ってきた。
そして瞬く間に辺りは濃い闇に覆われた。
しかし見上げると満月は煌々と輝いている。
不思議に思っていると
コーン
いい音を立てて何かが頭にぶつかった。
「ぉお!?」
慌てて頭をさすりつつ何事かと辺りを見渡すと
コンココン、カラカラカラ
音を立てて1本のペットボトルが転がっていた。
「ったく、誰だよポイ捨てした奴はよぉ」
悪態をついて転がっているペットボトルを拾うと外国製のラベルの中に手紙のような物が入っていた。
投げた奴の手掛かりでもないかと中身を取り出して吃驚した。
そこには失踪した姉からの手紙が入っていたのだ。

私は元気です。
今度結婚します。
会えないのは残念だけど、もし、どうしても会いたければこのボトルの中の空気を吸ってください。

そこまで読むともう手紙の下の方からボロボロと紙が崩れて無くなってきてしまった。
あわあわと慌てているうちにあっという間に手紙は泡の如く消えてしまった。
残ったのは空のボトルだけ。
中の匂いを嗅ぐと不思議な香りがしたが異臭ではなかった。
手紙は消えてしまい、手掛かりは空のボトルだけ。
誰に話したところで何の証拠も無い状態だった。
唯一、手紙が消える前に読んだ一文が気になった。
 ボトルの中の空気を吸う
他に手掛かりも無し、思い切って吸ってみた。

 ……
 ……?

何の変化も起きな
ズオオォオ
身体が一気に上空に舞い上がった。
「ぉぉおおお!?って俺素っ裸じゃん!何だこれぇぇぇぇぇぇぇえええええええええ!」
ボフーン
気が付くと辺り一面夜の闇の色と月光の明かりを写した雲の上に居た。
「どゆことー!?」
思わず叫ぶとケラケラと笑い声が聞こえた。
「私と同じリアクション。姉弟だねー」
「姉ちゃん!」
「よ、弟。7年振り」
「よ、じゃねーよ。何してんだよ!此処どこだよ!」
「立派になったねー」
ニヤニヤしながら言う姉の視線に思わず股間を隠す。
「どこ見ながら…」
「ほら、これ着な」
投げ渡された服を着ながら「答えろよ」と悪態をつく。
「此処はさぁ、雲の上の世界で地上とは次元が違うんだってさ。
詳しいことは私も分かんないけど、地上はマテリアルの固有振動数が重いとか何とかで。この世界とは干渉できないんだって。ただ、雲の上の存在を体内に入れちゃうとこっちの存在に変わっちゃうんだって」
「雲の上って。食べ物とかは?」
「水はね、雲をぎゅぅって固めると水になるの。あとね、雲の中に魚とかいるのよ。他にもこの世界特有の植物もあるから食べ物には困らないわ」
「何で帰ってこなかったの?」
「この雲の世界はね、浮遊していて何処に行くかは判らないの。でも今回たまたま地元の上に来たし、以前どっかの山にぶつかった時に雲に引っかかったボトルが残ってたからダメもとであんたに届けばいいなーって投げたんだけど。笑」
「笑えねーよ。家に帰ろーぜ」
「無理よ、降りられないもの」
「はぁ?」
「一緒にここで暮らしましょ」
そう言って姉に結婚相手を紹介された。


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