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こうさん

江戸川乱歩先生とレイ・ブラッドベリに触発された、不思議な世界を旅する冒険活劇ストーリー創りが身上です。

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将来の夢 電車内で読んでにやにや笑いされるような 小さな物語本の作者になりたいです。
座右の銘 とりあえず 突きあたるまで 進みましょう!

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誰のせい?

12/12/31 コンテスト(テーマ):第二十二回 時空モノガタリ文学賞【 お寺 】 コメント:2件 こう 閲覧数:1469

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 私の通っている中学校の掲示板に、校長からの言葉が、ある日貼り出されました。
「生徒の皆さんへ 最近、事故や事件が多く発生しているため、冬休み中の「きもだめし」や「オカルト」に関係する遊びを禁止いたします。もし誘われたり、違反している生徒を見かけたら注意してください。勉強や健全な遊びを心がけてください。 学校長」
 冬休みに肝試し! 普通、しないよねと、私達は笑っていたけれど…。
 その時、掲示板を読む私の肩越しに、真亜がそっとささやく「せっかくだから、ちょっと、行ってみる?」と。
 私はあきれながら振り返った。
「だめだよ、真亜! おまえら行くな、って書いてあるのに、なんで行こうってのさ」
「だって、行くなと言われたら言ってみるのがスジってもんでしょうが」
 どういうスジなんだ? てかどういう精神構造してるんだ、この娘!
 ところが、そういう精神構造してる奴が、まだいたらしい。冬休みに入った翌日の昼、沢口綺羅光から携帯がかかってきた。
「キラミツ? なんの用」「なんの用、じゃねーよ。真亜から聞いてないか? 今日の、肝試し」「肝試し? だってそれは、学校でだめだって…」「関係ないよ。真冬のゴーストクェストって結構盛り上がるって言うぜ。なー、行こうよ」「い…行かないよッ ばかじゃないの。電話してクンジャネーヨ」私はすげなく電話を切った。
 キラミツ…ほんとバカ。私は、あいつのそういうところ、いまひとつ壁を越えられない原因だと思っていた。
「壁を…越える…きゃっあ!」
 私は思わず自分の枕を顔に押し当てた。キラミツとの壁を越えたら、そこに何が。
 私は枕をそっとはずして、姿見を見た。頬がほんのり紅くなってる。枕を押し付けすぎせたせいじゃないわ…これは……。
「えっ?」でも、その時見たそれは、なんだったのだろうか。鏡ごしに見る、私の部屋の背景が薄暗くにごって、まるで海の底のようにユラユラとゆれていた。
「これはお寺? そして、お墓?」
 どうして、なぜ? 私の部屋の鏡に、お墓が映っている! そして、そこを歩いている、数人の少年少女たち。―先頭をいくのは…キラミツだ! 彼らは突風にあおられ、腕で顔を護りながら、それでも前進しようとしている様子。そして次の瞬間、真ん中らへんにいた、真亜の首が、つむじ風に切られて、突然ポーンと、飛んだのだ!「真亜!」私は部屋に居ながら絶叫した。
 私は携帯を掴んだ。そして、真亜にかけようとして、押してしまって、キラミツにかけてしまった。
「あ! キラミツ。だめだよ。やっぱり、行っちゃだめ。絶対、行かないで」
「なんだよ、どうしたんだよ。落ち着けって…。わあった。行かないから。その代り、先生に言うなよ。この計画のこと」
「わかった。約束ね。もし行ったら…」
 もう、携帯は切れていた。そのあとかけたけど、真亜にはつながらなかった。
 その夜、私はとても抑えられなくなって、家族が止めるのも聞かず、家を出て近くの遍宋寺の境内へ向かった。真亜やキラミツたちが肝試しをほんとうにやめたかどうか、確かめるためだ。
 墓地には誰もいなかった。私は胸をなでおろし、自分もこんなところからはすぐに帰ろうと思った。そして振り返ったところで、白い…顔を見た。
「おーららららら…!」白塗りの顔の少年が、私に両腕を広げて覆いかぶさってきた。
「いッ……」私はそれを両手で突き放した。するとそれは、仰向けに勢いよく、お墓をなぎ倒して倒れた。
「痛ってー! なにすんだよー」
 キラミツだった。私を脅かそうと、先回りをしていたの違いない。彼が派手にひっくりかえるのを見て、隠れていたみんながワッと笑ったようだった。
「バカ! ファンデーション、ミエミエなんだよオマエ」私はこけたキラミツを心配しながらも、哄笑してののしった。
「…ねえ、真亜は?」私は、もの影から出てきた女の子たち数人の中に真亜がいないのを見て訊ねた。
「真亜? 来ねえよ。あいつ、最初から来る気なかったし」「え……だけど」私は、鏡で見た予言のことをみんなに話した。みんなは、そうすると一様に顔が青ざめてしまった。
 私はあわてて真亜に携帯をかけた。すると、真亜はすぐ、出てくれた。
「ああ! よかった…ほんとに……」思わず涙ぐむ私を、真亜は逆に元気づけてくれた。「バッカだなあ、柚凛(ゆりん)は。そんな幻を信じるなんて。
 だって墓石を倒したの、アンタなんだから、呪いかかるのは、これから後なんだよ…絶対に、そうなるからね…」それは太い、男のような声。「え、何言ってるの? 真亜? マー?」そして電話が切れる直前、太いロープが切れるようなブチッという音がして、ものすごい、真亜の悲鳴が耳に……。


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このストーリーに関するコメント

13/01/01 泡沫恋歌

こう様、拝読しました。

相変わらず、ホラーですね。
かなり怖いですよ。

13/01/05 クナリ

面白かったです。
『太い男のような声』がするシーンを頭の中で思い描くと、ぞっとしますね。

最後はあわただしい感じにするよりも、じっくり書いたほうが怖くなるかな、と思いました。

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