重一さん

性別 男性
将来の夢
座右の銘

投稿済みの作品

0

ゴミ

18/04/30 コンテスト(テーマ):第155回 時空モノガタリ文学賞 【 ゴミ 】 コメント:0件 重一 閲覧数:158

この作品を評価する

またSがいつもの喫茶店へ呼び出した。なぜいつもなにかあると俺を呼ぶんだ?
「やあやあKよ」「お前さあ人待たせるなよこういう時は」「ごめんごめん。向かってる途中、足場がないくらいゴミが散乱してる道があってさあ。ありゃカラスだよ、迷惑だねえ」
俺は椅子に寄りかかり腕組をし、いかにもな雰囲気を醸し出しSに言う。
「迷惑してるのは俺もだよ。お前、あれだろ、また会社辞めたんだろ」
さっきまでヘラヘラしていたSはじわじわ表情が暗くなり、下を向いて「俺、人に好かれないたちでさあ。やっぱり、生きるのに向いてないんだよ」なんて言い出した。
「Kもわかってるだろ?俺だってわかってる。でもな、直そうと頑張れば頑張るほどほら、ニキビスゴいだろ?ダメなんだ。俺は」
俺はSの見せつける肌荒れを隠さず嫌がり体を引き、うわぁ、という感じを押し出す。
「何度も死のうとしたよ、生きる才能ないんだもん。みんなからいじめられてさ、辛いよ。でも、なんやかんやもう23になって。俺やっぱ頑張れるって思って、もう一度就職したけど、あは、ダメだった、よ」

俺はコーヒーを一口。そして冷たい目線を送る。
「俺を愛してくれる人もいないんだ。慰める人全員が信じられないお前もそうだろ!?本当は、俺のこと面倒だなって、おもてるだろお!」
俺は重く頷く。
「くぅ。みんなそうさ。俺と付き合った女も、愛なんてなかったんだ。俺は顔もよくないし、仕事もできない。ゴミ人間ってか」
Sはツーッと涙をキレイに流した。しかし一生懸命笑みを浮かべている、俺を困らせないために隠しているのだ。もう限界なのに、笑って誤魔化しているのだ。
そういう、作戦なのだ。
「お前さあ。女にやれよ、そういうの」
「いや、女は全員やったよちゃんと一緒に泣いてくれたよ。Kだけなんだよ、俺を慰めてくれないの」
「お前の穢い作戦を知ってちゃあ出るもんも出ないよ」
「まあ、お前には一番に教えたからなあ、自分を卑下してはいるが実はそういう自分がかっこいいと思っているから言い回し立ち回り全て計算通りよって母性本能一本釣りで頭ポンポンされちゃおう作戦」
「お前本当にきったないなあ」
俺はかまってられずに席を立った。ずっと友達だった。大好きだった。でも高校生の時に味をしめ、あいつは変わってしまった。なんでも計算をして動くようになり、今でも恋人二人のヒモになり生きている。まあ、叱れなかった俺も悪いけど。
「いや、ちょっと待ってよ」「なんだよ」「えっと。本当に、今、友達のお前に慰めてほしいんだよ。ずっと一緒にいてくれたお前に」
俺はまた座り、なんでかもぞもぞした。二回ほど咳払いをし「なに、お前、本当になんか、辛かったの?」「……まあ。自分的にはさ、本当に頑張ろうと息巻いてたんだ」「ああ、そうか。そうか」
どうしよう。なんて言葉を投げかけてやればいいのかわからない。コーヒーを一口。二口。なくなっちゃった。なぜか背中が熱くなった。
「あは、あ、お前さ、気の利いたこと言おうとテンパってるな?」「いやぁ、えと」「いいのいいの!俺は中身のない話がしたいんだ。今日は」
それから、俺とSは、昔の話をした。いつのまにか俺は泣いていた。当たり前だ、一番戻りたい時代を語り合ったんだ。
Sは泣いている俺を「なんだよ、気持ち悪いぞ」何て言いながら肩を叩いた。嬉しくてまた泣いてしまった。そのとき気づいた、俺もそうとう今に疲れてたんだなって。Sにそれが伝わってしまったのか「Kも、もみくちゃにされてる感じか?」なんて訊かれてしまった。隠せない。
「……実は、少し。金に困ってて」「おいおい、お前らしくないな」「違うんだ、恋人が、ヴゥ、グッス、病気で」「え!?Yさんが!?」「もぉ、三ヶ月ずっとベッドでぇ、ヴォンヴォン」「いくらなんだよ!いくらなんだよ!」「六百万円!」「出すよー!!」
よっしゃ。


コメント・評価を投稿する

コメントの投稿するにはログインしてください。
コメントを入力してください。

このストーリーに関するコメント

ログイン