1. トップページ
  2. 捨てられない男たち

重一さん

性別 男性
将来の夢
座右の銘

投稿済みの作品

0

捨てられない男たち

18/04/30 コンテスト(テーマ):第155回 時空モノガタリ文学賞 【 ゴミ 】 コメント:0件 重一 閲覧数:141

この作品を評価する

 恋人と別れた元井は部屋で一人、今後の生き方について考えていた。
「やっぱり恋愛が長続きしないのって、この思い出たちのせいなのかなあ」
 ダンボールに詰まった元恋人たちの写真、プレゼント、手紙。元井は歴代の物を全てとっておいていた。
「そうだよなあ。なんか、気持ち、油汚れ的な感じで残っちゃってるんだよなあ。捨ててないってことはさあ。心機一転、恋人の思い出をゴミとして処分しよう。という口説き文句にやられちゃいましてねえ」「へえ、僕もなんですよ。やっぱりとっておいちゃいますよねえ」
 
 ここは悩める恋人の思い出を捨てられない子羊たちの救済の場「勇気の処分教室」
 どうしてか恋人とつくった思い出(写真、プレゼント、手紙、アドレス、住所、履歴、感触)全て捨てないと、未来の新恋人が悲しみますよ。心機一転、恋人の思い出をゴミとして処分しよう。

 ビルの五階にて「勇気の処分教室」が行われる。人数が先生含め三人と少数だが、教室は平べったく無駄に広く空虚である。正面に横長の窓が端から端までなのでカーテンが間に合っていないので日の光が駄々洩れで眩しい。元井と佐伯は机を隣り合わせくっつけてピタッと席に座り先生を待っていた。
「それにしても佐伯さんすごいですよね、まさか爪とか抜け毛までとってるなんで」「いや、それは子供のころからなんです。耳くそとか大事に保管しちゃうたちでねえ。あとカリカリ梅の種とか、あれね結構匂いが残ってるんですよ」「ああ、いますね、そういう人ね」
 ガチャッと扉が開き小柄の男が優しい表情で入ってきた。ぺこぺこと軽くあいさつしながら二人の正面へ。
「えっと、君が元井君?」「いえ、佐伯です」「おっほほ、ごめんごめん、年はとるもんじゃあないねえ。えー、元井君に佐伯君。君たちは過去付き合っていた恋人、恋人たち、の、思い出を捨てられずにいるね」「元井君何人と付き合ってるんですか?」「八人です」「あら、多いですね。で、全員分のをとっていると?」「まあそうですね」「重いなあ」「大丈夫ですよ。この勇気の処分教室へ入会したんですから。思い出と言うのはなんでか美しい、キラキラしたイメージですよね。しかしそのイメージを払拭し、使わないのならゴミだと、燃える燃えるゴミだと認識しなければなりません」
 元井は手で顎を撫でながら「難しそうだな」「いえいえ、簡単ですよ。価値観なんてパッと変えられますよ」と、先生は手をすりすりしながらニヤニヤ言う。
 先生の話を聞いてさっそく勇気が湧いてきたのか、佐伯は下唇を噛み、決心したような表情を浮かべるのを見て元井もその気になる。
「あ、ほら、もう君たちの心がめらめらしてきてますね。その心をどんどん燃やしましょう!その勢いで、何が思い出だってんでゴミを全部処理しましょう!」
 元井は瞳に炎をつくり「あいつ、俺のことが好ーき♡なんて言いやがった二週間後に振りやがったんだ!」
 佐伯は来ているシャツを破り「あの女はね!僕に貢ぎたいなんて言ってたんだ!なのにぃ」
 歯を食いしばって顔が真っ赤になる。ふるふる震えている。
「ああ!なんて俺は優しい男なんだ!俺を捨てた女のくれたスッカスカのモンをなんでダンボールで厳重保管してたんだろうか!」「僕だって、そりゃあ、愛していましたけどね。別れたらもう他人じゃんか!なんで僕は毛の一本取り残さず全部拾ってとっておいたんだ!?気持ち悪いぞ!」「それは本当に気持ち悪いな」「あ!!元井さんそりゃあないよ!僕だって我慢してたけど言うよ!?八人も付き合っちゃって汚れだねえあなたは!」「あのねえ付き合った人数が多かったらそういう、なんかよくないみたいな?風潮を流しているあなたの方がきったないよねえって思うわ。嫉妬嫉妬!あのね、プライドかな?それは、付き合う人数は少ない方がいいみたいなのは?主人公かなあ。そうじゃないんだよ、選んでたらいつまでたってもスキルが蓄積されないだろう?妄想じゃあ成長しないののちのちの奥さんを苦労させちゃうの!佐伯さんさあ、本当は付き合ってないんじゃあないの?全部妄想?ゲームとかじゃないんですか!」「なあにを言っちょるん!?ラブラブだった恋人いますけど!?」「あ、辛いなあだったってさあ」「それは貴様もだろうがよお!」
 ヒートアップした二人は取っ組み合いをはじめ摩擦で炎が誕生し、二人を塵にした。
「んー。驚きだねえ」


コメント・評価を投稿する

コメントの投稿するにはログインしてください。
コメントを入力してください。

このストーリーに関するコメント

ログイン