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小高まあなさん

鳥と怪異と特撮ヒーローが好き。 ひねくれつつも清々しい物語がモットー。

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青は藍より出でて藍よりゴミゴミ

18/04/30 コンテスト(テーマ):第155回 時空モノガタリ文学賞 【 ゴミ 】 コメント:0件 小高まあな 閲覧数:277

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「はっはっは! 地球をゴミだらけにしてやる!」
 ゴミの力が集まって生まれた怪物集団ゴミダラケー。その戦闘員アキカンダーは空き缶を、道行く人々や建物にぶつけていく。
「待て!」
 それを制止する声。アキカンダーが振り向いた先には、赤・青・黄。それぞれの色の全身スーツと仮面を身にまとい、ポーズを決める三人組。
「ゴミはゴミ箱に! リサイクル戦隊トラッシャー!」
「でたな、トラッシャー! 今日こそ貴様らをごみ捨て場におくってやる!」
 アキカンダーはそう告げ、手下のヘドロンたちを呼び出した。トラッシャー対ゴミダラケーたち。それは、何度も繰り返されてきた光景だ。様々な攻防が繰り広げられた結果、
「覚えておけ!」
 捨て台詞を残し、アキカンダーとヘドロンたちは姿を消した。
 レッドは周囲の人々に「もう大丈夫ですよ」と声をかけた。

 山中にある不法投棄の聖地がゴミダラケーの基地だ。
 大きなイスに腰掛けたボス・リ=デュースは、跪くアキカンダーに声をかけた。
「椅子に座れ。パワハラみたいじゃないか」
「ですが」
「いいから、報告をしろ」
 アキカンダーは椅子に座ると今日の作戦について報告を始めた。
「今回の敗因は?」
「トラッシャーを呼んでしまったことです。正直、私の実力では、トラッシャーに勝つ事は出来ない。現れる前に片をつけるか、気づかれないように進めるべきでした」
「そうだな、お前は自分のことがしっかりわかっている。冷静になったらきちんと反省できる。ただ、いざ現場にでると頭に血が上り、感情で行動してしまう。それが、弱点だ」
 立ち上がり、アキカンダーの肩を励ますように、軽く叩いた。
「反省できるのなら大丈夫だ。今日はもう帰ってゆっくり休め。次に期待しているぞ」
 柔らかい声に、アキカンダーは思わず涙ぐむ。
「勿体無いお言葉、ありがとうございます」
 アキカンダーが部屋から出て行くと、隅で待機していた秘書を呼んだ。
「今回、怪我をしたヘドロンは?」
「治療中です。労災についても手続き中です」
「さすがだな。ありがとう」
「また、サンパーイへの出産祝い、手配しておきました」
「ありがとう。君もあがっていいぞ。残業させて悪かったな」
 秘書は一礼すると部屋を出た。部下を気遣い、叱るときはきちんと叱る。そんなリ=デュースは部下たちからのあつい信頼を寄せられていた。

 一方、
「なんで逃げられてんだよ、このクズッ!!」
 ゴミ処理場の地下にあるトラッシャーの基地。総司令であるリ=ユースが、三人を正座させた上で、怒鳴り散らしていた。
「お前らも、ゴミダラケーも、ゴミの力を使っている点では同類だ。だがお前らには、力を増幅させる機能のあるスーツがある! なんで、負けんだよ!!」
「それは、向こうの方が数が多く」
「言い訳してんじゃねーよ、クズが!
 足元にあったゴミ箱を蹴ると、レッドの頭に当たった。レッドは短く呻いた。
「同じ力を使い、華麗に勝つ! それがヒーローってもんだろうが!」
 リ=ユースの話は、三時間も続いた。散々怒鳴って疲れたのか、やや肩で息をしながら、
「今日の失敗の分は、給料から引いとくからな。始末書を書いてから帰れよ」
 最後にもう一度、クズが! と吐き捨ててから出て行った。
 その足音が消えてから、
「もう、いやだよ」
 イエローが小さく呟き、体を丸め、泣き出す。
「もう少し頑張ろう。ゴミダラケーを倒すために」
「もう少しってどれぐらいだよ」
 レッドの言葉に、ブルーが冷たく言う。
「ピンクもグリーンもいなくなったのに人員が補充されない。五人で勝てなかったものが、三人で勝てるわけがない」
 淡々と事実を指摘するブルーの言葉。レッドは何かをいいかけ、結局何も言えなかった。
「僕も、辞めたい」
 泣き声の合間に、イエローが呟く。
「グリーンみたいに大怪我する前に、ピンクみたいに辞めて転職したい。今、ゴミダラケーのところで、秘書やってるんだって。ちゃんと給料でるし、労災もおりるし、定時で帰れるし、有休もとれるって。僕も、あっちに行きたいよぉぉぉ」
 号泣。レッドはただ、その背中をなでることしかできなかった。
 ピンクが夜逃げするように辞めてから、自分たちの体内には自爆装置が埋め込まれている。辞めようとした瞬間、死ぬことになるだろう。
 ブルーがしびれた足をかばいながら、ぼやく。
「リ=デュースは総司令の弟なんだろ? 結局俺らは壮大な兄弟喧嘩に巻き込まれてるだけじゃねーか」
 それからイエローの頭を撫でると
「泣いてても帰れないんだから、さっさと始末書かこうぜ」
 イエローの頭を撫でる。
「うん」
「帰りに飯おごるよ」
 そうして三人は、やたらと細かいフォーマットの始末書を埋める作業に取り掛かる。結局帰れたのは、終電ギリギリだった。


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