1. トップページ
  2. 天の塵から地の塵へ

鎌太郎さん

28歳になりつつ、ぬるぬる駄文を散らしている者です どうかよろしくお願いたします 別サイトでも小説を書いているので、良ければどうぞ https://mypage.syosetu.com/915062/

性別 男性
将来の夢
座右の銘

投稿済みの作品

1

天の塵から地の塵へ

18/04/23 コンテスト(テーマ):第155回 時空モノガタリ文学賞 【 ゴミ 】 コメント:0件 鎌太郎 閲覧数:122

この作品を評価する



 ――それに天蓋が掛かるようになったのは、ボクが生まれた頃辺りからだったそうだ。
 地球に『未踏の地』というものが存在しなくなった時、人類の興味の矛先は、そらも向こう側、つまりは『宇宙』に向かっていった。
 それもまぁ、しょうがない話だろう。
 人類全体の特徴は『進歩し続ける事』だ。何万年という時間をかけて進歩し続けてきた人類は、何万年と続けてきたが故に、歩みを止める事が出来ない。

 そこは、回遊魚と同じ。
 動き続けなければ、人類は狂ってしまうのだ。

 未開の地、新たな星への冒険。狭苦しい地球からの移住。学術的興味、あるいはただの知的好奇心。目新しいものを探しに行く観光気分。
 様々な理由を持った人々が、この星を飛び出し空に舞い上がって行く。
 その結果生まれたのが、空にかかる天蓋――大量の宇宙ゴミ(デブリ)だ。
 何百、何千……いいや、下手をすれば何万何十万という宇宙ロケットが空を貫いて行き、その過程で余計な燃料タンクや推進器を切り捨てて行く。
 それだけではない。中継として設けられていた、既に廃棄された宇宙ステーション。使われなくなった衛星。ロケットの乗っていた人間が出したゴミ。

 大きい物で数万トン。小さい物で汚れたパンツ一枚。

 そんな様々なゴミが捨てられ、捨てられ、捨てられ続け――いつか天を覆う蓋になってしまった。
 日中は太陽が殆ど降り注がない。夜は星々がその片鱗さえも観えない。
 まるでいつまでも暗雲が垂れ込めているような世界。それがボクが生まれた世界だった。

 父はよく言った。『空は青いんだよ』と。
 母はよく言った。『星は綺麗なのよ』と。

 だけどそんなモノ、ボクは2人の話の中でしか知らなかったし、進歩してきた割に人類は、その宇宙ゴミを何とかするような進歩はしてこなかった。
 そんな地球に嫌気がさして、多くの人間が逃げ出し始めるが――それももう手遅れ。ゴミが多すぎて、ロケットが空を飛べないのだ。
 文字通り、世界は蓋をされたのだ。

 ――そして蓋は、ある日溢れ出した。

 地球の重力以上により、その天井は一気にではなかったが、雨のように降り始めたのだ。
 いつかこうなるかもしれないね。
 そう笑い合いながら言っていた人達が驚愕の表情を浮かべ、逃げ惑っている姿は、恐怖心を煽るよりも、どこか滑稽にすら見えてしまう。
 空には幾条もの、熱を持つが故の光と煙。
 振動は続き、それが彼らの怒りを示している。ああ、それはもう、当然だろう。ボクらが無用だと思って切り捨てたモノ達に反撃を食らって、何が間違いがあるだろうか。



 ああ、空の上にある不要なもの(ゴミ)は
 地面にいるボクらを、ゴミ(不要なもの)と認識した。





コメント・評価を投稿する

コメントの投稿するにはログインしてください。
コメントを入力してください。

このストーリーに関するコメント

ログイン