1. トップページ
  2. キミを救うために〜ゴミになったボク〜

笹岡 拓也さん

文章で笹岡 拓也の世界を伝えられたらいいなと考えてます。 キャラクターたちがイキイキとした物語を書いて、読んだあと何か残れるような作品にしていきます。

性別 男性
将来の夢 自分の作品を多くの人に読んでもらうこと
座右の銘 生きているだけで幸せ

投稿済みの作品

1

キミを救うために〜ゴミになったボク〜

18/04/20 コンテスト(テーマ):第155回 時空モノガタリ文学賞 【 ゴミ 】 コメント:0件 笹岡 拓也 閲覧数:213

この作品を評価する

きっとボクは今、キミに振り向いてもらわなかったら、幸せにすることはできない。だからボクはキミの腕にしがみ付いた。
「頼む!ボクを見てほしい!」
ただキミはボクの声が届かない。いや存在すら気付いていない。ボクはキミにとって空気でしかないんだ。
「ボクのことを知ってほしい!空気じゃなきゃゴミでもカスでもなんでもいい!」
「あれ?こんなところにゴミがある」
ボクが強く願った時、キミはボクの存在に気がついた。もちろんボクに対して感情など持ち合わせない。それでも空気のように気づかないよりいい。ボクがゴミだったとしても、いつかキミを幸せにしてあげることができるなら。

「あれ?昨日掃除機掛けたばかりなのに、もうゴミが落ちてる」
ボクはあの日からキミに気付いてもらう存在になった。ボクは遠い未来からキミを救うために現れた存在。しかし未来からやって来たことで、姿形は本来のものから程遠いものに変わってしまった。キミの将来はあの時を境に悲しみに暮れてしまう。そんなキミを見ていられなかったんだ。だからボクは犠牲になってでもキミを救うことにした。
キミはボクを見つけると、すぐに掃除機で吸い込もうとする。それは当然のこと。キミが綺麗好きだということも知っていたし、毎日のように掃除機をかけているのも知っている。ボクはずっとキミのことを見続けていたから。キミのすべてを知ってるボクだからこそ、そんなキミの行動を予想して行動することができるんだ。

キミの未来を奪った男に出会う。その日が刻々と近づいてくる。どうにかボクの力で会わせないように考えるが、答えが見つからない。男とキミは元恋人同士。本当はもう会うことはない関係なのに、小さな偶然から出会ってしまうんだ。だからその偶然をボクが壊さなければならない。でもボクはゴミとしか認識されていないから、手出しができない。


キミはボクのことを本当に可愛がってくれていた。あの男と別れて悲しそうにしていた時、ボクをペットショップで見つけてくれた。名前はダッシュ。走り回っていたから付けたらしい。
「ダッシュ、今日から新しい家族が増えるの!」
とっても嬉しそうにしていたキミ。その家族がキミの未来を奪った男。小さな偶然からまた会うようになり、復縁し同棲することになったんだ。
男はボクのことを好かなかった。キミがいないところでは押入れに閉じ込められたりもした。それでもキミには優しい男。ボクはキミが喜んでいれば構わないと腹をくくったんだ。
ただそんな唯一望んでいたことも奪われてしまう。男はその日、イライラしていた。仕事が上手くいかなかったらしく、矛先は当然ボクに向けられた。
「お前がいると目障りなんだよ!」
そうボクに言いながら、グツグツと煮え繰り返る湯をボクにザバーとかけてきた。熱い、いや痛い。そんなボクを見て男はケタケタと笑った。ボクは抵抗することもできなかった。どんどん意識が朦朧としていくのが分かった。あっ死んじゃうんだ、そんなことを冷静に考えたボク。その時、キミが帰ってきた。
「ダッシュになんてことするの!」
「こいつが目障りだから」
男はキミに平気な顔で状況を説明している。
キミは見たこともないほどの怒りをあらわにし、テーブルに置いてあったハサミで男の腹を思い切り刺した。痛がっている男に目をくれず、ボクに駆け寄ってくるキミ。
「ごめんね、ごめんね」
涙をボロボロ流しながらボクに謝り続ける。
「てめぇタダじゃ済まさねぇぞ」
男は刺さったハサミを引っこ抜き、キミに近づいてくる。ボクは最後の力を振り絞り、キミにサインを送った。そしてキミはすぐ立ち上がりキッチンから包丁を取り出し、男をもう一度刺して殺してしまったんだ。キミは悪くない。それでも人間社会は殺人の罪でキミを刑務所に閉じ込めたんだ。

そんなキミを救うため、未来からボクはやってきた。あの男とあの時、会っていなければキミはずっと幸せだったはず。しかし簡単には答えが導き出せなかった。そして行き着いた答えが【ボクと出会わなければあんなことにならない】。
そしてボクはキミと出会ったあの場所に向かった。

「この子、可愛いでしょう?抱っこします?」
キミはペットショップでボクを見つけると長らく眺め続けた。そんなキミに店員さんが声をかけ、キミは僕のことを抱っこした。
「可愛い!!ウチ来ちゃう?」
そんな言葉を僕に掛けている。ただここで、僕を飼ってしまうとキミは取り返しのつかない未来になってしまう。
ボクはキミの鼻にまとわりつき、キミのクシャミを誘った。何度も何度も。
「あれ?私犬アレルギーなのかな?ごめんね、君のこと飼ってあげれないみたい」
僕はとても悲しそうな声を出していた。キミも悲しそうな顔を浮かべていた。
そんな姿を見て、ボクはホッとしながら涙を流した。
「幸せになってね」


コメント・評価を投稿する

コメントの投稿するにはログインしてください。
コメントを入力してください。

このストーリーに関するコメント

ログイン