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斎藤緋七(さいとうひな)さん

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性別 女性
将来の夢 食べても太らない身体になること。
座右の銘 左右の眼はコンタクトです。

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熟れた実の味

18/04/06 コンテスト(テーマ):第155回 時空モノガタリ文学賞 【 ゴミ 】 コメント:0件 斎藤緋七(さいとうひな) 閲覧数:93

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お嬢さん、よく来たねえ。
あたしが浩の祖母のタキだよ。
今は、浩の唯一の肉親さ。
なーんにもないが、今日はゆっくりしていくといい。

え?
「浩と一緒になる話がしたい」って?
お嬢さん、あんた、案外、気が短いねえ。
まあ、その話はおいおいするとして、とりあえずはお茶でもお飲み。
少しおちつくといいさ。

浩、お嬢さんに村を案内しておあげ。
あたしはここで待っているからね。

おや、もう帰って来たのかい?
浩との、結婚の話だったね。

そのまえに「うちの家」の話を少ししようじゃないか。
あたしの名前はタキ、この村の長老さ。

うちに嫁に来たいなら、
最初に、この話をしないとねえ。

あたしの孫たちの話さ。
あたしの孫を一人娘は7人身篭ってね。

6人女の子が続いて7人目でやっと跡取りの男の子だった、
それが浩さ。

そりゃあ、小さな閉鎖された村さ。
みーんな、親戚みたいなもんだよ。
どこかで必ず血が繋がってる。

だからこそ、お互い、口をつぐんできた。

村の人間同士で殺し合いになって、
どちらかが死んでも、

黙って死体を埋めるのさ。
林の木の下にね。

赤子の死体が木の根元にごみを埋めるのと同じで、
いい肥料になると信じて埋めるんだよ。

大人だけじゃない、
産んでから殺した赤子も、
おろした赤子もごみもみーんな同じさ。
とにかく、貧しい家ばかりだ。
運よく産んでもらっても女の子は、
まず間違いなく殺して埋められるねえ。
うちは長女から六女まで、
生まれて直ぐ首を絞めて殺して、6人埋めたかねえ。

あたしは若いとき産婆をやっていたから、
慣れていた.

自分の孫をこの手で7人とりあげて、
そのうち6人、この手で首をしめて生めたねえ。

亭主は黙々と木の下に自分の孫を埋める穴を掘っていたねえ。
どの木の下に埋めたか忘れないように、
布を結んで印を付けて、
村はずれの林で一番目立つ大きな木の下に埋めることに決めていた。
幹も立派だが大きな枝に分かれていて

「このあたりで一番の首吊りの木」

なんてよばれていたねえ。

残酷?
ざんこくだって?
浩、「ざんこく」ってなんだい?
ずいぶんと難しい言葉を使うんだねえ。
どこのお国の言葉だい?
あたしには分からないねえ。

で?このお嬢さんはこの村に嫁に来たいと?
浩と結婚したいだけならやめといた方がいいよ。
自分の親元の近くで暮らせばいい。

この村から若いもんが出て行く話は良く聞くけど、
この村に入りたいと言って来たのは、
お嬢さん、あんたが初めてだ。

あたしの面倒を見ながら、
浩の子供をのんびりとしたこの村で育てたいと?
いいさ、わかった。
そこまで言うなら、
今晩にでも、
村の連中と掛け合ってみるかねえ。

お嬢さんの気持ちは私が受け取ったよ。
今晩中には、
村中で寄り合って報告する。
それでいいね?浩?
家は今、浩が住んでいるうちの離れに住むといい。

お嬢さん、
何もないけど良かったらこの果物をお食べ。
昨日、
あたしが林に入って採って来た分だ。
何の実かって?
柘榴って知ってるかい?
聞いたことくらいはあるだろう。

「おいしい?」

そうかい?
それは、良かったよ。

あたしが覚えているだけで、
頼まれて2〜30人の赤子を、
ごみと一緒に柘榴の木の下に生めたかねえ?

お嬢さん。
ここまで知ってしまったら、
もう永久に親元には帰れないよ?

赤子の血や肉を栄養にして育った柘榴だ。
味はどうだい?
甘いかい?
赤子の血の味がするだろう?


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