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れいぃさん

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「ゴミ」から「キミ」に

18/04/06 コンテスト(テーマ):第155回 時空モノガタリ文学賞 【 ゴミ 】 コメント:0件 れいぃ 閲覧数:211

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 捨てに行きたい。
 でも、捨てられない。
 アリシュエルはゴミ袋を前に途方に暮れている。
 中味は、彼女の出した魔法廃棄物だ。魔物の脱皮によりできた皮、ロウソク、枯れた薬草、魔術に使う縄や貝殻や石、供え物の腐ったの。
「どうしたものかなぁ」
 いつもなら、魔法廃棄物処理場に出しに行くのだが、困ったことにゴミ袋の中味はごそごそうごめいているのだ。
 魔法に失敗したために、命を持ってしまっている。不要となったものが寄り集まって一つになり、新しい魔物になろうとしている。
 捨てる前にこの命を奪ってしまわないと回収してもらえないどころか、生命遺棄の罪で捕まってしまうかも。
「えーと、えーと」
 通販で買ったばかりの魔法書にも、解決法は載っていない。
 ゴミ袋の中味は、捨てられそうだと悟ったのか、ぐにゃぐにゃと形を変えて、小さくなった。三角の耳を出し、灰色のやわらかな毛をまとい、くるりと巻いたしっぽを見せる。
「にゃあ」
「……」
 アリシュエルの手が止まった。
「さっきまで、ゴミだったくせに」
 すっかり猫の姿になったそれをそっと抱き上げると、紺色のローブに小さな頭がすりよせられた。
「みゃおう」
 捨てないでといわんばかりに見上げてくる。
「分かったよ」
 捨てればゴミだけど、だいじにすれば宝物だもの。
「ケセラセラ」
 軽やかに歌い、キャットフードを出した魔法使いは、ゴミだったものの頭をそっと撫でて、ゴミ収集日の案内を長い爪で引き裂いた。


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