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笹岡 拓也さん

文章で笹岡 拓也の世界を伝えられたらいいなと考えてます。 キャラクターたちがイキイキとした物語を書いて、読んだあと何か残れるような作品にしていきます。

性別 男性
将来の夢 自分の作品を多くの人に読んでもらうこと
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どんな復讐がしたい?

18/04/01 コンテスト(テーマ):第154回 時空モノガタリ文学賞 【 復讐 】 コメント:1件 笹岡 拓也 閲覧数:255

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「復讐したいんだって?願いを叶えてやろう」
僕は人間の姿をした悪魔と名乗る者に出会った。どうして僕の目の前に現れたのかはよく分からない。ただ復讐したいというのは事実。
「そうなんです。ただ復讐の仕方が分からなかったので…」
僕は中学生の頃いじめられていた。いじめを受けたことで学校にも行けなくなった。だからいじめてきた奴らに復讐したいと考えていた。
「じゃあ早速いじめてた奴らの命を奪おう」
僕は悪魔に過去の事を告げると、ニヤリと笑って今すぐ復讐しようとする。どうやら悪魔にとって復讐は手軽にできるものらしい。ただ僕は命を奪うほど思い詰めた復讐をしようとはしていなかった。
「ちょっちょっ!ちょっと待ってよ!いくらなんでも命は…ね?」
「そうか?じゃあお前はどんな復讐がしたいんだ?」
そう言われるとどうしたいか分からないのが僕。ただ復讐した後、後悔することはしたくなかった。相当酷いいじめを受けていたが、それでも今生きている。仮に命を奪う復讐を行なってしまえば釣り合わない。僕の方が悪者になってしまう。
「いちいち面倒くさいなぁ。元はと言えば、いじめてきた奴が悪いんだから命が奪われても、文句なんか言わないだろう?」
「いやきっとそいつらにも家族とかいるし」
悪魔はイライラしていた。人間の姿をしているため、表情ひとつで悪魔の心境が分かってしまう。もっと悪魔らしい姿でいてくれたらいいのに。
「お前は復讐したい気持ちが相当弱いな。もっといじめられていた時のことを思い出せよ?」
僕だって本当に復讐したい気持ちはある。しかし悪魔は僕に対して復讐したい気持ちが弱いと言う。そんなことはないと思いながらも、僕は過去の事を考えた。

「お前ってさ、運動神経悪いし頭悪いし面白くねーのに、なんで生きてんの?」
そんなことを言いながら、クラスメイトは僕の頭に牛乳を掛けてくる。まわりのみんなはクスクス笑ってるし、「やめなよー」と声を掛けてる女子もにやついているのが分かる。先生も見て見ぬ振りをしていて、僕は逃げ場がなかった。だから黙ってこの場をやり過ごす。
「あれ?お前の席、あそこにあるけど?」
僕がクラスに入ると机も椅子もなかった。クラスメイトが指差す方向を見ると廊下にあるゴミ箱の横に並べられていた。
「お前やりすぎー!」など笑いながら言い合っている姿を見て息苦しくなり、そのまま帰宅した。その帰る姿にクラスメイトは
「まじか。つまんねー奴」
と言い捨てたのが聞こえた。その日以来、学校には行っていない。玄関まで足を運んでも、進む事が出来なかった。
そんな僕に追い打ちをかけるようにクラスメイトはメールを毎日送ってくる。[今日もサボりですか?][生きてる意味を5・7・5で教えて][死んだら連絡ちょうだい]など学校に行っていないのにもかかわらず、僕をいじめてくる。この援護射撃にかなり参った僕は、死のうかと考えるようになった。そんな僕を引き止めてくれたのがお笑いだ。どんなに辛い時も笑わせてくれる。この世界にお笑いがなかったらとっくに死を選んでいたかもしれない。

だから僕は今、大人になってお笑いの世界に足を運んでいる。過去の事を考えると本当に辛いいじめを受けたと我ながら感じている。しかしやっぱり命を奪うことはできない。
「決まったか?お前をいじめてた事なんて記憶にもないんだぜ。ふざけんなと思うだろう?」
「確かに。でも命を奪うことはできない」
「はぁ。じゃあさ、いじめてた奴らに復讐で何を伝えたいんだ?」
悪魔は明らかに僕のことをしょうもない人間だと見ていた。踏ん切りがつかない僕に問いかけた質問を考えてみる。【同じいじめを受けてほしい】【いじめられた僕の気持ちを知ってほしい】などを考えたがどうもしっくりこない。一体何を伝えたいんだろう。答えの出ない僕に悪魔はため息混じりに言葉を投げかける。
「お前はもう答えが出てんだよ。復讐なんてしたいと思ってない。ただ今こうやって堂々と生きてることを伝えたいだけなんだよ。復讐を通して」
悪魔は最初から分かっていたのかもしれない。僕は悪魔の言葉が妙にしっくりとくる。
「そうかもしれない。そうだよ、復讐を通して今の生きてる僕を伝えたかったんだよ!あの時、家に引きこもってたからお笑いの素晴らしさに気付けたし。今こうやって叶えたい夢になったんだ!ってのを伝えたいんだ!」
いじめられたことは本当に辛かった。それでも僕は今こうして楽しく生きている。いじめてた奴に負けなかったことを伝えたい!
「じゃあ復讐は取り止めだな」
「いやお願いしたいことがある」
きょとんとする悪魔に僕は復讐を頼んだ。
「いじめてた奴らの家のポストに、僕がこれからやるライブのチラシを入れ続けて!」
悪魔は笑いながら馬鹿げた復讐の依頼を了承してくれた。


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このストーリーに関するコメント

18/04/01 文月めぐ

拝読いたしました。
復讐、と簡単に口に出せても、いざ何をするか考えると悩んでしまった主人公の気持ち、よくわかります。
いじめられてお笑いの世界に入った主人公、前向きな気持ちにもなれたのですね。

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