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小さな復讐

18/03/20 コンテスト(テーマ):第154回 時空モノガタリ文学賞 【 復讐 】 コメント:0件 かお 閲覧数:292

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数年ぶりに恋人に会う。
恋人は高校を卒業して故郷を出た。
バンドやると言ってたのだが何年かのアルバイト生活をしたのち
何故かお笑いグループのツッコミになりそれも解散した。
相方は売れたのだが恋人の方はとんと聞かない。
テレビに出ることはなかった。

やがてヨーロッパに旅立ったと聞いた。
ヨーロッパのイギリスだかフランスを放浪して
パリだかロンドンに落ち着いた。なにをしていたかは知らない。
きっとろくなことをして居なかったのだろう。
その後アジアを転々としてようやく帰国した。
今は東京の下北沢で古着屋をやっているという。
わたしの方は彼を待つでもなくなんとなく幾人かと付き合ったが
結局今はフリーだ。
事務職をしていて休日はいつも寝ている。
寝すぎてよく午後になる。怖いくらいだ。
今日は日の光でなく飼っている猫の鳴き声で目を覚ました。
昼が過ぎて
再びうとうとし始めて今度はスマホの着信音で目を開けた。
彼からだった。
イマイチ話がかみ合わない。
窓を開けて横断歩道の先にある土産物屋を見た。
喚起をすることで少し眠気が飛んできた。
寂れた田舎の土産物屋 店員は暇そうにしている。
彼の電話で私は少し頭がすっきりしてきた。
どこで私の連絡を知ったのだろうか。
彼の要件は要するに東京で落ち着いたので会いたいという事だった。
わたしはくらくらした。全く連絡すらなかったというのに。
すっかり忘れたものだと思っていた。男って勝手だ。
話が終わると私は親に一言散歩してくると言い
玄関で靴をつっかけて家を出た。ふと昔を思い出す。


高2の夏休み 私たちは喧嘩をした。
普段から私たちはそれほど仲良くなかった。
特に夏休みの開ける前彼がちょっとした浮気をしたのだ。
喧嘩をすると蒸し暑さが一段と増した。田舎に流れる時間は永遠のように思えた。
高2の夏 それから10年が過ぎた。
わたしたちは大人になったのだろうか。


東京に用があった私は彼と逢うことにした。
逢いに行く途中で私は新宿で小田急線に乗り換えた。
下北沢で出会った彼は少し背が伸びてひげ面になっていた。
笑いながら手を振ってくる。何か昔の復讐をしたくなる。
彼が浮気をしなかったら故郷も出て全く連絡すらしないとは。
それでいて逢おうという、何か小さな復讐を。
私はにやりと微笑んだ。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「中田さん今日もガールズバーですか」
後輩にはもうばれている。
「そうそう まただよ」
このまま新宿のガールズバーに行くことになっている。
中田はいつものように夕方で古着屋を閉じると下北の街を出た。
「中田さんってバンドやってたんですよね」
「そう ここのライブハウスでやってた 結構人気あったんだけどね」
中田は自慢するでもなく淡々と語った。
「その後 お笑いコンビを組んでさあ。ほらエンドルの温海っているだろ。
あいつと組んでたんだ」
「凄いですねえ」
エンドルはそこそこ売れているお笑い芸人だ。たまにひな壇芸人としてテレビに駆り出される。
若手のよくある芸人だった。
「俺の方が才能が有ったんだけどな。まやりたい事あったし 海外に羽ばたこうと」
中田はロンドンのワーホリの話を始めた。
「中田さん 付き合ってる人いないんですか」
「今は居ないね。」
「前付き合ってた あの女はどうしたんですか。」
ほら前に色々話してくれたあの女性。と後輩は語った。
「ああ、あいつね 今でも仲いいよ」
故郷にいる初音の事だった。後輩には何回か話したことがある。
「電話してみようか」
夕方というのに初音の声は眠そうだった。
「ああ 久しぶり最近どう」
「ふふふ」
「大丈夫 もう一回かけなおそうか」
「ちょっと頭がくらくらした 大丈夫」
「それでさ 東京で今古着屋やってるんだけど」
「うん」

中田は逢いたいというようなことを語った。
後輩はそばてそっと聞いている。

「どうでした」
「うむ 東京に来るって」
「そうですか じゃまた付き合うんですか」
「そうだね 逢って飯食って部屋に呼んで」

中田は後輩に語り出した。
「高2の頃喧嘩したんだ。ちょっとしたことで」
「ちょっとほかの女とデートしただけであいつ切れちゃって」
「浮気じゃないんですか」
「違うね 最後までいってないし」
後輩は呆れたように笑う。どうしようもない。
「なんか思い出したら腹立ってきた。今度会ったらなんか復讐してやろう」
「復讐って」
「いたずらみたいなもんだよ」
中田はふらふら街を歩きながら呟いた。後輩は呆れたように彼の後を追う。
そして彼のスマホが鳴り出したのに気が付かなかった。






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