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小峰綾子さん

性別 女性
将来の夢
座右の銘 笑う門には福来る

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偶然か、もしかして復讐

18/03/11 コンテスト(テーマ):第154回 時空モノガタリ文学賞 【 復讐 】 コメント:0件 小峰綾子 閲覧数:342

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友人に助言されて某SNSを開いた。最近は就職活動で忙しかったこともあり、覗いてさえもいなかったが、久々に会った友人に開口一番、こう言われたのだ。
「お前の元カノ、日記で色々書いてんの、読んでる?」
全く何のことか分からなかったが、つべこべ言わず読んでみろ、と言うのでログインし、新着の日記の通知を開く
「あの日から…」
嫌な予感がするが、本文を開く
「あの日から、どこで間違ったのだろう、と考えている。嫌いで別れたわけではないけど、大学生活の中の約1年間という大事な時期を共にした人だから考えてしまう。せめて向こうにもこれから幸せになってほしいと思うし、私も精いっぱい幸せにならなくては。」

「うわ、これ、俺だわ」
「な。名前は書いてないにしても、めちゃくちゃお前のことじゃん。共通の友達も何人かいるでしょ?みんななんとなく気にしてたよ。まず、何で別れたんだっけ」
「好きな人ができたから別れてと言ったのはこっちだけど、元々マンネリ化してたというか…」
「なんか、別れの理由も美化されて書かれてるっぽいよ」
「なんだそれ」

家に帰って改めてここ2か月の元カノの日記を確認してみたところ週1ぐらいのペースで更新されており、半分ぐらいは何らかの形で俺が登場している。別れた理由は「就職活動で忙しく、お互いを思いやる気持ちがなくなりかけていた」「価値観の相違と思われることがあった」その後の関係としては「まだ気まずい気持ちもあるが、そのうちきっと、いい友達になれると思う。」そして「たまには弱音を吐きたい」と言うタイトルの日は「次の恋に進むのが怖くなっている。同じことを繰り返すのではないか、という思いが頭をよぎる」などど書き連ねられている。分かってはいたが、完全にあれだ。意識高い系?自分で自分の言葉に酔っている。なんだ価値観の相違って、芸能人か。

というわけで、2か月ぶりに元カノに電話をする羽目になった。

「共通の友達に入っている人もいるんだから好き勝手に俺のことを書くのは止めてほしい、というか、事実を美化すんな」というのがこちらの主張なのだが、彼女曰く「私にとってはあれが真実だし、私の日記なんだから言われる筋合いはない。」だそうだ。
しかし、確かに俺は全く日記を書かないたちなので、向こうの書くことが100パーセント通ってしまうのはフェアじゃないというのは理解してもらえたようで、今後は俺に関することは書かない、お互いに友達登録は外す、というところで折り合いはついた。
その後もしばらくは元カノの日記を巡回していたがその後は今のところ俺のことは出てきていない。元カノを振った理由が「好きな人ができた」だったのだが、何を隠そうその子が今の彼女だ。元カノとはサークルでの同期だったのだが、今の彼女はバイト先で知り合ったので接点はない。彼女も同じSNSはやっているのだが、元カノの日記を読む機会はないはずなので、何かを咎められることはないはずだ。まあ、向こうが勝手に書いているので俺が怒られる筋合いもないのだが。

さて、その彼女をファミレスで待っていたのだが、就活の面接が思ったより押したので待ち合わせの時間より少し遅れて彼女はやってきた。

「ごめんね。遅くなって」
「別に全然。お疲れ。なんか食う?」
彼女がサンドイッチを、俺はミックスフライのセットを注文し、一息ついたところで彼女が開口一番
「同じサークルに、小宮さんて人いたでしょ」
と言い出したので危なく飲んでいた水を吹き出すところだった。小宮、元カノの苗字だ。
「いた。けど、何で?」
何とか平常心を保ちながら言った。
「今日のグループワークで同じ組で、終わった後にちょっと話して、話が弾んでね。志望職種も近かったから情報交換とかできるといいね、ってなって。連絡先交換したよ。大学名聞いたらあなたと一緒だったから、もしかしたらと思って聞いてみたら。すごい偶然だね。」
マジか。うわ。そんな偶然ある?怖いわ。

その後も何とか冷静さを保っていたのだが、「なんか顔色悪い?」と彼女に心配されたので保てていなかったのかもしれない。
「あ!小宮さんからSNSの友達申請きた。」
いよいよ血の気が引いた。やめてくれ!でもやめてもらう権利もないし、事情を説明するのもややこしい。彼女に日記を読まれてしまう、しかし、俺の名前が書いてあるわけではない。いや、でも今後もあいつが俺のことを絶対書かないという保証もない。
…本当に偶然なのだろうか。
ある恐ろしい考えが頭をよぎる。もしかして…俺が一方的に振ったことによる復讐…?
俺の交友関係やSNSを手繰って今の彼女を突き止めるなんて可能だろうか。分からないが、元カノが人一倍集中力、執着心が強いのも知っている…

俺はしばらく、手の震えを止めることができなかった。


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