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とむなおさん

とむなお――です。 ちょっと奇妙な小説を書きます。どうぞ宜しく!

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復讐横丁

18/03/10 コンテスト(テーマ):第154回 時空モノガタリ文学賞 【 復讐 】 コメント:0件 とむなお 閲覧数:171

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ある夕方――東京にあるR企業でのこと……
その日も鈴木は、山本課長に会社の裏に呼び出されて、ボッコボコにされた。
上司と部下の関係であり、ミスをしたのは鈴木だったから、仕方がない――と言えば、それまでだった。
……が、あまりにも酷(ひど)い仕打ちであり、それが1度や2度ではなかったので、鈴木は頭にきていた。
社を後にして、いつもの店でチビリチビリやりながら、なんとか山本に復讐したいな……と考えていた。
しかし、どう考えても、普通に向かっていって敵(かな)う相手ではなかった。

色々な人に相談してみたが、納得いく方法は見付からなかった。

鈴木は、何か良い方法はないか――と、自宅でネットを使って検索してみた。
すると――
『復讐クラブ』
というサイトを見付けた。
そして、そこに――
『復讐横丁(ふくしゅう よこちょう)』
という『特報』が出ていた。
それは、東京から数キロ離れた、A県とB県の県境にあるらしい……。
さらに方法を見ると――
『入り口にある掲示板に、復讐したい相手の名前と生年月日を書く。
そして待っていると、一時間ほどで相手が運ばれるので、思い切り復讐しましょう。
あと始末は、横丁がしてくれる。復讐は1人1回のみ有効です』
――とあったのだ。

快晴となった次の休日、鈴木は――ダメモトで行ってみることにした。
車を使い、何度か迷いながら、夕方ちかくに到着した。
――そこは、もう誰も住んでない小さな横丁だった。
少し広い地道の両側に、ボロボロの廃屋が、それぞれ五軒ずつ並んでいる。
確認してみると確かに、入り口の廃屋の壁に掲示板があったので、鈴木は山本の氏名と生年月日を書いた。
そしてタバコを吸い、周りを見物しつつ待った。
やがて1時間ちかく経った頃――黒い雲が広がり始めたかと思うと、
ゴー……ゴー……ゴー……
という音が聞こえ、東京の方から、小さな竜巻が飛来した。
まもなく、その竜巻が消えると、中から山本が現れ、グッタリ……地面に倒れた。
「本当だったんだ……!」
鈴木は、そんな山本に近付くと、いつもやられているようにボッコボコにした。
「やった、やったー! ついに復讐したぞー!」
すると、すぐ横の路地から、ものすごい風が吹きだし、反対側の廃屋の戸が開くと、その風を吸い込み始めた。
まもなく山本の体は、その風で吹き飛ばされ、廃屋の中に消えた。
風か止んでから、鈴木が廃屋の中を見ると、奥の壁に大きな穴があり、山本の体は何処かへ飛ばされたようだった。
「地獄へでも行っちゃったかな……。まーいい、これでスッとした」
鈴木が、さっきの掲示板を見ると、自分が書いた文字は、全て消えていた。
鈴木は、笑いながら東京に帰って行った。

晴天となった次の休日の午後、鈴木が自宅でくつろいでいると、何故か黒い雲が広がりだし……
ゴー……ゴー……ゴー……
という音が聞こえたかと思うと、突然、窓が開き、小さな竜巻が入ってきた。
「えっ、どういう事だー?」
と言ってる間に、彼の体は竜巻に呑(の)まれた。
次に気がつくと、例の復讐横丁で寝ていた。
そこに誰かいて、
「俺は山本の息子だ。先日、父は自宅の庭に叩きつけられて死んだ。会社で訊(き)いて、お前がよく怒られていた事を知った。よくも父を殺してくれたな。敵討(かたきう)ちだー!」
鈴木は何か言おうとしたが、口も体も自由にならなかった。
山本の息子は、彼の体をボコボコにした。
まもなく路地から強風が吹きだし、反対側の廃屋の戸が開いた。
次の瞬間、鈴木の体は、その廃屋の中へと飛ばされた。

暗い闇の中を鈴木は飛んでいき、自宅の庭に叩きつけられ、全身を強烈な衝撃が走った。
が彼は、一命を取り留めた。
前回の様子を見ていた彼は、廃屋に吸い込まれる際、一瞬、その戸を掴み、風の勢いを逸(そ)らせたのだった。
鈴木は、ヨロヨロと自宅に入ると、ベッドに横になりながら、
「人を呪わば、穴二つ――か……。山本の息子には悪い事をした……」
その目から涙が流れた。

曇天だった次の休日、なんとか元気になった鈴木は、山本宅を訪れた。
そして驚く息子と奥さんに陳謝すると、山本課長の遺骨が置かれた仏壇に線香を供え、合掌するのだった。


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