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セレビシエさん

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夕暮れの公園

18/03/05 コンテスト(テーマ):第153回 時空モノガタリ文学賞 【 報酬 】 コメント:0件 セレビシエ 閲覧数:279

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仕事が終わり、外に出た。今日も定時で帰ることが出来る。ここのところ、仕事の調子がとても良かった。
外は夕陽に包まれてオレンジ色に輝いている。春を知らせるような暖かい風も吹いていた。

最寄り駅まで電車で揺られた。直ぐに家に帰ってもいいのだが、今日も寄り道をする。
家の近くにあるとても小さな公園、そこに今日も彼がいた。
「お待たせ、タクミくん」
「もー、待ったよ〜!」
彼は少し不貞腐れた様に言った。
「ねえねえ、はやく遊ぼうよ!」
催促されて、僕はバッグの中から小さなボールを取り出し、それでキャッチボールをした。
「お〜、だいぶはやく投げれるようになったね」
「でしょ!僕たくさん練習したもん」
彼とは1ヶ月くらいこうして毎日のようにキャッチボールをしていた。
僕が仕事終わりに、偶然この公園を通ったときに彼がここで俯いて座っていたのだ。僕は気になって声をかけた。遊び相手がいないのだ、と彼は言った。
それから、仕事終わりに、彼とこの公園で遊ぶようになったのだ。
「最近、仕事の調子が良いんだよ」
「ほんと?!良かったね〜」
タクミくんはニコっと笑ってとても可愛らしかった。

「よし、今日はそろそろ終わりにしようか」
僕はそう言った。
「うんっ。あのね、明日カイトお兄さんにプレゼントあげる!」
「お〜、嬉しいな。楽しみにしているよ」
そう言って、2人は別れた。
家に帰った僕は、明日のプレゼントは何だろうかとワクワクしながら、眠りに就いた。

翌日出勤すると、驚くことに昇格を伝えられた。

僕はウキウキしながらその日の仕事を終え、また公園に向かった。

けれど、そこに彼はいなかった。
主婦のような人が1人、公園の中を掃除しているだけだった。
「あの、小学生ぐらいの男の子来てませんでしたか?」
僕はそう聞いてみた。
「いえ、見てませんけど……」
彼女はそう答え、更に続けた。
「1ヶ月くらい前に、この公園の前で交通事故があってね。それで小さな男の子が亡くなっちゃったのよ。それ以来この公園に誰も寄り付かなくなってねえ……って野暮な話だったわね」
「そうですか……」
そして僕はその場をあとにした。

夕暮れの中、僕は心のどこかにぽっかりと穴が空いてしまった様な気がした。

「プレゼント……」
僕は家の前で呟いた。
「ありがとう、タクミくん」
僕はまた、1人で呟いた。
玄関のドアを開け、今日は贅沢な物を食べようと、そう思った。


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