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林一さん

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カニ味噌

18/03/04 コンテスト(テーマ):第153回 時空モノガタリ文学賞 【 報酬 】 コメント:0件 林一 閲覧数:121

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 私はお手伝いさんとして、ご主人様の元で働いている。
 私が仕えるご主人様はとてもケチな性格で、自分には高級食材を使った料理を作らせるくせに、私には質素な料理を食べることしか許してくれないの。ひどい話よね。
 だけどその代わり、この仕事で楽しみにしていることが一つだけあるの。
 ご主人様は毎週金曜日に、決まってカニ料理を私に作らせるんだけど、ご主人様はカニ味噌が苦手だから、調理の時に残ったカニ味噌を私に譲ってくれるの。
 私はカニ味噌を食べられる金曜日を、毎週楽しみにしていたわ。
 ある日の金曜日。いつものようにカニ料理を作ろうとする私に、ご主人様が突然、こんなことを言い出したの。
「今日はカニ味噌も食べてみようかな。今までは見た目が泥みたいで気持ち悪くて食わず嫌いしていたが、君がいつも美味しそうに食べるもんだから、私もつい食べたくなってしまったよ」
 その日の夕食。ご主人様のメニューには、カニのしゃぶしゃぶ、カニのお寿司、カニグラタン、それに加えて、カニの甲羅に盛ったカニ味噌を用意したわ。
 ちなみに、私の食事はというと、ご飯、みそ汁、シシャモ一匹、それに漬物だけという、いつも通りの質素なメニューだったわ。
「どれどれ、早速カニ味噌をいただいてみるか」
 ご主人様は、カニ味噌を口に入れるや否や、慌てて吐き出したの。
「うえっ、まずい。お前はよくこんな物を食べられるな。もうカニ味噌なんて一生食わんぞ」
 こうして私はまた、毎週金曜日にカニ味噌を食べられることになったの。良かった良かった。
 それにしても、あの時はドキドキしたわ。ご主人様に、カニ味噌に泥を混ぜたことがばれるんじゃないかってね。


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