1. トップページ
  2. 世界で廻る羊たちよ。

松田リリーさん

つまらない人生をおもしろく。がモットー。

性別 女性
将来の夢
座右の銘

投稿済みの作品

0

世界で廻る羊たちよ。

18/03/04 コンテスト(テーマ):第153回 時空モノガタリ文学賞 【 報酬 】 コメント:0件 松田リリー 閲覧数:156

この作品を評価する






「終わりました。」

そう声をかけると、扉についてる小さな窓からニョっと手が出た。
その手からバラバラと飴が落ちてくるので、慌てて拾う。

「拾い終わったなら、早く帰って。」

冷たい声にお辞儀をして、
僕は足早に駆けて行った。

僕たちは、偉い人たちの顔を見ることもない。
街と村の間には壁が張り巡らされていて、仕事の時も、壁の扉や窓から声をかけられたり、手が出てきたりするだけ。
声や手は僕らと同じだけど、はたして偉い人たちの顔、身体はどんなモノなのか。
ただ、僕たちの手より、彼らの手はとっても綺麗だった。

僕たちの手は汚れてる。
色々な意味で。

街の人がやりたくない仕事を、僕たちは請け負っているから。



その汚い手で包みを剥がして飴を舐めた。

この飴を舐めると、幸せな気持ちになる。
嫌なことも忘れる。お腹もいっぱいになる。

ただ、この飴のせいかもしれないけど、
大人になる頃には、みんな壊れて使い物にならなくなるから、そういった人は外の森に捨てられる。
僕の両親ももう、森に捨てられた。
悲しかったけど、飴を舐めたら忘れるから、もう悲しくない。



「…あまい」


森にはどんな世界があるんだろう。
そこにも、僕たちみたいな思いをする人がいるのかなぁ。壊れてみないと、それもわからない。

この考えも、この飴を舐めてたら忘れる。明日にはまた、街でいらなくなった人達を使える部位に分けて、街の人に渡す。
そして、もらった飴を舐めて、嫌な気持ちも難しいことも忘れる。



飴は、僕がバラバラにした命の対価。
世界ではいつも命は平等じゃない。
それに気付いて、飴を口に放り込んだ。


コメント・評価を投稿する

コメントの投稿するにはログインしてください。
コメントを入力してください。

このストーリーに関するコメント

ログイン