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斎藤緋七(さいとうひな)さん

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性別 女性
将来の夢 食べても太らない身体になること。
座右の銘 左右の眼はコンタクトです。

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金・金・金

18/02/08 コンテスト(テーマ):第153回 時空モノガタリ文学賞 【 報酬 】 コメント:0件 斎藤緋七(さいとうひな) 閲覧数:246

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勇人は「別れさせ屋」をやっていた。
もちろん、『金をもらって』だ。依頼者は圧倒的に男が多い。
新しい彼女が出来たから古い付き合いの女とはおさらばしたいと言うのが一番多い。
その日も友人の一人、智に依頼された。
「勇人。親友割引で頼む。」
「割引なんかしないぞ。有里は一途だから。料金も高くなる、
一番別れ際タチが悪いタイプだ。」
今月に入って2件目の依頼だ。
やりにくい女は手間だがいい金になる。
勇人は、ターゲットの女を自分に引き付けるだけ引き付けておいて、
彼氏と分かれさせ勇人に完全に気持ちを移した途端に、
もう逢わないと告げる『残酷なやり方』で恋人同士を別れさせていた。
「いつか殺されるわよ。」
頭があがらない7歳上の姉は言う。
「おねーちゃんも今カレと別れたくなったら、
言って『シスコン割引』でするから。」
「縁起でもないこと言うんじゃないわよ!」
とおねえちゃんに頭をはたかれた。

智と有里を完全に別れさせることに成功し、5万の報酬を手にした。
「5万の報酬は高くない?勇人?」
「刺されるよりましだと思え。」
人の恋愛沙汰にかまってる暇はあるのか?
時々、勇人は考える事がある。
勇人には復縁したい元カノがいた。
今も復縁したい、誰かにとられる前に、何とかするつもりだった。
勇人の大学には「復縁屋」もいた。
勇人は、自分の事になると途端に小心で不器用だったから
『人を別れさせて得た報酬』で勇人は『復縁屋』を頼る事にした。
元カノの名前は直美、勇人は直美と復縁したかった。
「7万!?」
「高くはないと思うぜ。お前も5万くらいとってるんだろ。
同じ様な商売じゃないか。嫌ならやめとけ。グダグダ言われても困る。」
「ちょっと待て、頼むよ。7万払う。今持ってるから今払うよ!」
勇人は「復縁屋」に飛びつくしかなかった。
「よし、仕事がしやすいように細かい情報を教えてくれ。」
「了解。商談成立だ。」

それから2ヶ月もたたないうちに『元カノ』から連絡が来た。
「やっぱり他の誰と付き合っても私は自分をさらけ出せない、
素顔を出せるのは勇人だけだ。まだ私に気持ちがあるなら連絡が欲しい。」
『単純』な勇人は大喜びし、その日のうちに返信をし、二人はあっさり復縁した。
どんな手を使ったは知らないがあの『7万』が安い気さえしてくる。
単純な勇人が自室で喜びの舞を踊っていたら
「うるさい!」と隣の部屋のお姉ちゃんにゴン!と頭を叩かれた。
痛くないのはどうしてだろう。
勇人は、「別れさせ屋」のバイトに力を入れ始めた。
これが直美とのデート代に消えていくと思うと嬉くて仕方がなかった。
勇人のいる大学は「別れさせ屋」と「復縁屋」のいる大学としていつしか有名になっていた。
『評判になりすぎると厄介になる』と感じて「復縁屋」と相談して、
一元さんお断りシステムにした。
「別れさせ屋」と「復縁屋」は就活シーズンに入り一時休業をすることになった。
しかし、「一時休業」に入る直前、どうしても断れない依頼が来てしまった。
それも「別れさせ屋」と「復縁屋」同時に。その客は社会人だ。
『別れさせ屋』の勇人の客は孝之、勇人の姉の理沙と別れたがっている。
「おねーちゃん、俺も『復縁屋』も就活中なんだよ。」
「終わってから就活すればいいじゃない。
あんたが10才までオムツがとれなかった事や16までおねしょしてたこと、
日本社会全体に拡散するわよ。」
『別れさせ屋』の客は理沙の彼だった。
それとなく、軽い感じで別れたいと告げたら刃傷沙汰になったから
『プロに頼むしかない』と思ったらしい。
押しに弱い勇人は同情して引き受けてしまった。
「復縁屋」の方も金と圧力に負けて仕事を請けたらしい。
「三途の川を渡るにもカネがいる。」
わかってるさ、わかっている。
所詮世の中、カネ、カネ、カネだよ。
「そして、権力だ。」
勇人は激しく納得した。
「別れさせ屋」と「復縁屋」はどう言う結果になれば、
納得がいくか、双方のおとしどころを、必死で考えなければならなかった。
「一旦、別れてもらって、クールダウンした頃、復縁してもらう?」
「他人ならそれでいいけど、うち、ねーちゃんだからなあ。」
「報酬もらっても嫌だ、こんな仕事。」色々な意味で金が一番じゃない、
それが分かった勇人は深いため息をついた。


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