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吉沼かえるさん

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あばずれシンデレラ

18/01/15 コンテスト(テーマ):第151回 時空モノガタリ文学賞 【 あばずれ 】 コメント:1件 吉沼かえる 閲覧数:164

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 ね、ちょっと聞いて。
 あのね、アタシ、1年前まで、キャバクラで働いててさ。あ、一目見てわかった?ふふ、まだメイクの癖が抜けてないっぽいわ。でもね、こう見えて清純派で売ってたのよ。びっくりしたぁ?どうでもいいか。
 青いドレスの清純派、だから「シンデレラ」なんて呼ばれてね、みんなアタシにデレデレしちゃってもーぉね。シンデレラにデレデレよ、シンデレラデレデレ。あっ、ね、ちょっと最後まで聞ーぃて。ってってって。
 そうそう、2年前かな、3年前かなあ。ある日、超イケメンがご来店したのぉー。今思いだしてもガチでイケメンだわあ。常連さんの付き添いで。そう、付き添いってところが大事なの、ね、わかる?あのね、キャバクラ慣れしてるイケメンとそうでないイケメンどっちと付き合いたいかって、わかるでしょ?ねっ。まあ、そう、恋愛対象として見ちゃったワケよ、彼を。
 常連さんの指名で入ったアタシは彼の個人情報を実に慎ましぃーく伺っておりました。するとなんと、彼、に、は、彼女がいるじゃーあーりませんか!でもね、色々聞いてたら、なんかちょーぉっと上手くいってない風。ちゃーんす!って思ったのね。
 最低って思う?思うなら思えば良いよ。あのね、アタシのこと最低って思うんだったら、あなたはこれからハッピーな気分になるから、最後まで聞いてて。
 あくまで営業内のサービスとして連絡先を交換して、それを利用して、近づいて、店以外でも会うようになって、仲良くなって、家にお邪魔して、それからは、わかるでしょ。
家では青いドレスに着替えるの。そんで終わったら、カボチャのケーキを一緒に食べるの。すごいロマンチックだと思わない?家を出るときにはガラスのペンダントを枕の下に置いてきた。
帰りの駅のホームでは、最終電車を待ちながら、裸足になって、点字ブロックの上を綱渡りみたいに歩いたの。イエローカーペットを歩いてる気分で、アタシ、きっと幸せになれるなあって思ってた。線路の向こうのマンションの光、前までは嫉妬と羨ましさでいっぱいになってた。でもね、そのときはね、嬉しい気持ちと優しい気持ちが溢れたの。
 そのペンダント、今はもうない。彼の枕の下においてから、返ってきてない。彼の名前も知らないまんま。
 彼とは1か月間音信不通になっちゃって、ある程度吹っ切れた頃に、思い切って金髪を黒髪に変えたの。このままシンデレラでい続けるなんて無理だぁー!って思って。
 黒髪に薄化粧にしたら、なんか、やったらおっさんとおじさんの指名が多くなったんだよねぇ。多いときは同時に7人の独身おっさんをキープしてさ、しかもおっさん達みーんな微妙に似てんだよねー。あの年代ってみんなああなの?ま、でもね、なんだかんだみんな優しくってさ。しかもみんな金持ち。だから、このおっさんの一人に的を絞って、金でも吸い上げてやろっかなーって。最低だと思う?ま、ま、ま、とにかく最後まで聞いとけって。
 で、一人、ベンチャー企業の社長だっていうおっさんをターゲットにしたの。一番金持ちっぽかったから。前の彼と同じ感じでお近づきになったけど、いざ彼の家へ行って、さあ、って時に、おっさん急変。グルルルルルルル、とか言い始めたの。え、なになになにって。もうね、なんか、獣?って感じ。目ェ真っ赤にしちゃってさ。縄とか蝋燭とかよくわかんないのを持ちだしてきて、マジでそういうの無理だからっつって急いで店に逃げたけど、そこまで追いかけてきたワケ。ほんとキモい。そんでアタシは店長にめっちゃ怒られたわけよ。営業外でそういう関係を持つのは禁止されてるからさ。で、シンデレラの件も他の従業員に告げ口されて、アタシはクビになった。これが、一年前の話ね。
 それからは出会い系サイトで繋がった男と毎日遊んだの。本命の男ができるたび、そいつの好みの女の子になりきったわ。彼がオタクだったときはコスプレだっつって、赤髪に露出度の高い服を着せられた。白人愛好者の彼には金髪に白肌に紅い口紅。大好きだった元カノが日系フィリピン人の彼のために整形して鼻を高くした。髪フェチのときにはエクステでやったら長い髪の毛にしたときもあったなぁ。
 そんな、あばずれ女が大っ嫌いなあなたに、ここで嬉しいお知らせがあります。
 なんと、私には赤ちゃんができてしまったのです。みてください、このおなか。一体誰の子なのでしょうか。ああ、マジ、泣きたい。泣きたいよお。アタシいま泣いたらさ、あなた、喜ぶの?ま、同情されるよりマシかもね。
 この子供、双子らしいよ。たぶん、男の子と女の子。二人に知恵がついた頃、いつかきっとアタシをぐつぐつ煮えた窯に押し込んで殺すんだろうね。まあ、別に今すぐ死んでもいいけどさ。シンデレラ、死んでらあー、なんつって。
 ああ、やっぱ、アタシの憧れはシンデレラだけだったんだなあ。


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このストーリーに関するコメント

18/01/16 凸山▲@感想を書きたい

拝読しました。
面白かったです。特に、独白に偏りすぎて、聞き手が飽きそうになる話を『とにかく最後まで聞いとけって』と繋ぎとめるタイミングのとり方が自分に合っていたのだと思います。結末がもっと予想もつかないものであればと感じました。

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