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みやさん

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ふしだらな彼女

18/01/15 コンテスト(テーマ):第151回 時空モノガタリ文学賞 【 あばずれ 】 コメント:2件 みや 閲覧数:140

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「櫻井さん今日も無断欠勤してたわね」
「部長が連絡がとれないって怒ってたわよ」
「ヤバいんじゃない?」
「例の彼氏?婚活パーティーで知り合ったとか言ってた」
「カッコイイって自慢気に話してたけど」
「犯罪に巻き込まれてるんじゃない?」
「怖い〜」

仕事終わりの社内の更衣室の女性のお喋りの話題は大抵がそこにいない同僚の悪口と相場は決まっている。特に日頃から嫌われている同僚の悪口だと、皆んなのお喋りはヒートアップしていく。

「ね、あなた櫻井さんと仲良いよね?」
「まあ…」
「信じられない、真面目なあなたが男なら誰とでも寝る様な人と仲良くしてるなんて」
私はお疲れ様ですと言い、そそくさと更衣室を後にした。真面目過ぎる、男と付き合った事がないんじゃないか、と今度は私の悪口で盛り上がっている事だろう。

櫻井千花、32歳独身。
決して綺麗だとか可愛いとは言い難い顔面偏差値の彼女は、けれども豊満な身体を持っていた。いかにも男が好きそうなその身体でフェロモンを撒き散らして歩く彼女の姿が、痩せ気味で胸が平たい私にはとても羨ましかった。そして彼女は男に対してとても明け透けだった。アバズレ、尻軽、ビッチ、色々な悪口を影で同僚達から言われていたし彼女自身も言われている事を知っていた。知っていてもどこ吹く風、自由に男性遍歴を積み重ねている。あっぱれ、お見事、ブラボー!だ。悪口を言っている同僚もきっと何処かで彼女の事が羨ましいのだろうと感じる。

男性に対して臆病な私と男性に対して奔放な彼女との違いは果たして何なのだろうか?私が彼女の様に豊満な身体を持っていれば男性に対して奔放になれるのか?彼女が私の様に平たい身体をしていれば男性に対して臆病になるのか?答えはきっとNoだ。
結局のところ性格的な違いだと思う。ただ単に私が消極的で彼女が積極的なだけ。遺伝子がそうさせるのだろう。

二日続けて会社を無断欠勤するなんてさすがに何かあったのかと私も気になり電話やメールを彼女にしていたのだけれど、電話は現在電波が届かない…の虚しい機械音しか返ってこないし、メールの返信も勿論無かった。

ヤバいんじゃない?

同僚の声が頭の中でこだましていた。彼女が最近婚活パーティーで知り合った男の事は私も知っているからだ。婚活パーティーとは言っても結局のところ全く知らないし人間だし、話している仕事や経歴も本当だとは限らない。軽く遊べる女を漁っている男もいると聞いた事があった。

「彼、商社マンなんだって」
「大丈夫なの?」
「何が?」
「信用出来るのかな…」
「あなたが新しい恋愛をしろって私に勧めたんじゃない」
「そうだけど…」

婚活パーティーの男と知り合う前に不倫をしていた彼女に私が不倫は良くない!新しい恋愛をしろ!とこんこんと説教をして彼女は婚活パーティーに参加したのだった。しかも私も…無理やりに彼女と一緒にその婚活パーティーに参加させられたのだった。私は消極的な性格と堅物そうな見た目の所為で男性とマッチングする事は当然無かったのだけれど、彼女は自称商社マンとマッチングした。商社マンはいかにもチャラそうな遊び人風の男性で、決して真剣に結婚相手を探している様には見えなかったし、胡散臭くて何かの犯罪に彼女が巻き込まれる怖れが絶対に無いとは言い切れなかった。

「この間会った時、ヤッたわ」
「この間って、まだ知り合って…」
「三回目」
「…早過ぎない?」
「そう?お互い遊びだから、普通のデートとかする必要無いし」

一週間前にそう報告してくれた彼女が逆に清々しかった。遊びだと割り切っているのなら何の問題も無い。まるでスポーツの様にセックスを楽しめると言う事はもう一種の才能の様に思えた。

通勤電車を降りた時に携帯に着信があった。彼女からだった。
「もしもし櫻井さん、大丈夫?無断欠勤…」
「大丈夫よ、商社マンの彼に急に温泉旅行に誘われてさ。会社に連絡しようと思ったんだけど、体調悪いからとか嘘付くのが嫌だし、会社から連絡があったら面倒くさいから携帯の電源切っておいたの」
彼女は楽しそうに笑っていて、その声を聞いて私は彼女の無事を確認出来てホッと胸を撫で下ろした。
「楽しそうで良かった」
「楽しくないわよ、彼ったら変な性癖があってさ、速攻別れて来たわ。また会った時詳しく話すね。あ、お土産買って来たからね〜」
やっぱり私はふしだらな彼女が好きだ。


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このストーリーに関するコメント

18/01/15 凸山▲@感想を書きたい

拝読しました。
日常の中の非日常が淡々と描かれていて読みやすかったです。対照的な二人の構図も、ステレオタイプな思考や言動も、読んでいて突っかかることなく最後まで読むことができました。

18/01/29 みや

凸山▲@感想を書きたい 様

コメントありがとうございます。
自分に無いものを持っている人に人は憧れてやまないのでしょうね。きっと…

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