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笹岡 拓也さん

文章で笹岡 拓也の世界を伝えられたらいいなと考えてます。 キャラクターたちがイキイキとした物語を書いて、読んだあと何か残れるような作品にしていきます。

性別 男性
将来の夢 自分の作品を多くの人に読んでもらうこと
座右の銘 生きているだけで幸せ

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私には彼氏が5人いる

18/01/13 コンテスト(テーマ):第151回 時空モノガタリ文学賞 【 あばずれ 】 コメント:0件 笹岡 拓也 閲覧数:111

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「勇次?今日はどこに行く?」
私には彼氏が5人いる。世間では私のような人間をあばずれと呼ぶのだろう。でも私のことをあばずれと思っている人はいない。私は5人の彼氏にばれないようにするだけでなく、私の知っている人すべてにばれないように努力をしているのだ。
「んーじゃあ今日は雨だし映画でも見に行こうか」
「いいね!何見る?」
「俺気になってたのがあってさ!」
勇次が見たいと言った映画は、違う彼氏と先週見た映画だった。でもここで「私この映画見たくないな」「この映画友達と見に行ったから」と言ってしまうと怪しまれてしまう。だから私は何も知らないフリをしてこう言う。
「この映画、どんな映画なの?」
すると勇次は一緒に見てもらいがために、必死にこの映画のアピールをする。そして私は
「面白そう!一緒に見よう!」
と言葉にするのだ。だから彼氏も嬉しいし、私もあばずれだということがばれないウィンウィンの関係でいられる。

「裕司?今日はどこに行く?」
「そうだなぁ。ちょっとアウトレットでも見に行こうか」
私の彼氏たちは、それぞれスキルが違う。金持ちの彼氏もいれば、音楽の趣味が合う彼氏もいる。顔がすごくかっこいい彼氏もいれば、料理が上手い彼氏もいるし、なんとなく惰性で付き合っている彼氏もいる。なんでこんな性格もスキルも違う彼氏たちと付き合っているのか?私でもよく分からない。でも誰かに絞ってしまったら、私は捨てられてしまった時にとても不安になってしまうだろう。だから私はできるだけ多くの彼氏をキープしておきたいのだ。

「裕二、今日は家でゆっくりしたい」
「珍しいね。いいよ、じゃあうちに行こう」
彼氏とのデートが嵩むと私も体力が続かなくなる。だから時々家デートを挟む。ただ同じ彼氏にだけ家デートをさせていると、彼氏は不貞腐れてしまったり、愛想をつかしてしまうので順繰り家デートをするようにしている。家デートでも粗相を起こさないように、入念に気をつけて対応している。例えば漫画を読んだりする時「○○って持ってなかったっけ?」と質問をするのはご法度。その漫画を持っているのは違う彼氏だったりするからだ。だからできるだけ間違わないように、彼氏の家のことには口を出したりしない。
私は彼氏たちに5股を掛けていることをばれないようにすることが、生きている実感になっているのだ。ただその考え方も少しずつ変わってきている。それは私の友達たちが相次いで結婚をしていくからだ。


「真帆ってさ裕司さんとどうなの?」
「祐二とはよくフェスに行ったりしてるよ?」
「いや結婚のことだよ」
「ん〜考えてないなぁ」
「そろそろ真帆も結婚考えたら?」
このところ友達に結婚を勧められる。だからかもしれないが、どの彼氏だったら結婚しても構わないか考えるようになっている。
「裕司さんって金持ちなんでしょ?早く結婚しないと逃げられちゃうよ?」
「あぁ…裕司はね金持ちだよ。いろんな物くれる」
「それに料理も得意なんてすごいよね!」
「まぁね。裕二は料理得意だからね」
「あとイケメンなんでしょ?」
「うん。勇次はかなりイケメンだと思う」
友達は私の彼氏のことをよく知っている。ただ私が5股を掛けていることは知らない。でも話が嚙み合っている。ただ一人の彼氏のことは友達に一度も言ったことがない。なんとなく惰性で付き合っているからだ。でもなんでだろう、別れることができない。


「祐志はさ、結婚とか考えたことある?」
「真帆と?」
結婚のことをとやかく友達が聞いてくるから、つい祐志に結婚のことを聞いてしまった。すると祐志は意外なことを言ってくる。
「んー考えたことはない…と言ったら嘘になる」
祐志も私とはなんとなく付き合っていると思ってたけど、意外にもちゃんと考えたことがあったんだ。でも祐志の言葉の続きは私の人生を狂わす。
「まぁでも真帆とは結婚できないな」
「え?なんで?」
「だってさ、俺の名前も間違って読んでるんだぜ?」
「ど、どういうこと?」
「俺さ、ヒロシって読むんだわ。なんかさずっと真帆俺のこと“ゆうじ”って呼んでるから訂正できなかった」
私は今まで“ゆうじ”という名前の男だけと付き合うようにしていた。だから名前を呼ぶ時に間違えることはなかったんだ。でも私は“ゆうじ”と呼ぶ彼氏を見つけるのに必死で、名前の漢字だけを見ていたんだ。
「真帆ってさ、他にも“ゆうじ”って彼氏いるだろ?」
「そ、そんなことないよ」
私の動揺は隠せなかった。でもどうしてそんなことが分かるのだろう。私には理解できなかった。完璧だったはずなのに。私は祐志にあばずれだということがバレてしまうキッカケを与えてしまったのだろうか?
「真帆のそういうところ嫌いじゃないよ」
祐志は私の髪をそっと撫で微笑んだ。


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