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斎藤緋七(さいとうひな)さん

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性別 女性
将来の夢 食べても太らない身体になること。
座右の銘 コンタクトです。

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カナシイ サケ

18/01/12 コンテスト(テーマ):第152回 時空モノガタリ文学賞 【 酒 】 コメント:0件 斎藤緋七(さいとうひな) 閲覧数:357

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 「あの子が人妻?うそだろう!」
 長吉芳樹40は驚いた。
 「年、25だって。」
 情報を仕入れてきた鈴木は言う。
 「25で人妻、子供はまだらしいよ。」
『あの子』とは最近アルバイトで入ってきた女性職員の夏生の事だ。夏生は小柄で眼が大きく胸も大きいのが目立つ。素肌が綺麗ですっぴんでも美しく、顔が小さくて、足が細い。幸運な事に、配属されたのは芳樹のナナメ前の席である。そしてあろうことか、芳樹は人妻とは知らずに、その、竹本夏生に一目ぼれしてしまったのである。これが、既婚者、芳樹のカナシイ片思いの始まりだった。
芳樹は結婚が早く、16歳と14歳の男の子がいた。元、某電話会社勤務で今はパートに出ている同い年の妻との4人家族である。洒落にならない程の女好きで夢は「愛人宅を持つ事。」単なる『あほ』である。
新しく入ったバイトの夏生は真面目で与えられた仕事を一生懸命やるタイプ、話すと明るく朗らかでしかも、可愛い。芳樹40は是非、「この可愛い人妻とW不倫関係に発展したい」とおバカな夢を見るようになった。生来のナンパ師の芳樹は、
 「昼飯でも食いに行こう。」
 まずは、夏生にジャブを打って見た。
「いいですよ。」
と答えが返ってきて、大好きな夏生と近場の
焼肉屋で焼き肉ランチを食べに行った、それだけで、単純な芳樹は舞い上がってしまった。
そして、次に調子に乗った芳樹は「映画と晩飯」に誘って見た。そしたら、夏生は、
「いいですよー。映画は何でもいいけど、ご飯、必ずお酒が飲めるところに連れて行って下さいねー。焼き鳥でチューハイとか、私、好きだなー。」
などと恐ろしい事を行って来る。芳樹40は完全に15〜16歳も年下のアルバイト職員になめ切られているのだ。不幸なことに、芳樹は極端にアルコールに弱かった。それを知っている夏生にからかわれているのだ。
「注射するとき、アルコールが染みた綿で拭くだろ。あれだけで、首まで蕁麻疹が出る程、アルコールに、弱いんだ。」
以前、話したはずなのに夏生は忘れてしまっているのだろうか。
「長吉さん、それ、馬鹿にされてるんすよ!」
後輩の「すーちゃん」コト鈴木は言うのだが、
 「夏生ちゃんが飲みに行きたいなら付き合うのが俺の使命だ。」
 と、言って純な芳樹はその日のうちから、ドラッグストアに行って消毒用アルコールと綿を買いに行き、「アルコールに慣れる訓練」を始めたのだった。なんとも、お馬鹿な40歳である。
 「長吉さ〜ん、飲めるようになりましたか?私、ソルティードッグとスクリュードライバー好きなんですよ。つきあって飲んで下さいね。」
 どんどんハードルを上げてくる夏生は生来の酒好きで、
「実家は私以外全員アル中なんです。」
と言っていたっけなー。芳樹はぼんやりとした頭で夏生の言葉を思い出す。芳樹は消毒用」アルコールの匂いで酔ってしまっているのだった。
「長吉さん、それ、馬鹿にされてるんすよ!もう、やめましょうよ!俺、夏生ちゃんに文句言ってきます。」
鈴木が言う事が間違っていない事は分かっている。でも、愛しの夏生ちゃんと映画を見れるかも知れない、と思うと、もう少しもう少しと頑張ってしまう、芳樹は本当に馬鹿な男だった。でも、毎日毎日、消毒用アルコールの匂いを嗅ぐだけで、倒れてしまう。自分が情けなく不甲斐なく思い、ウツになる芳樹であった。
 「まだ、頑張ってるんすか?」
 後輩の鈴木も呆れている。
 「なにが、長吉さんをここまで頑張らせてるのか?俺、分かりません。だって人の嫁さんですよ?」
 鈴木は頭を抱えている。
 「W不倫。」
 ますます、頭を抱える鈴木。「こんな男がいるから国力が弱まるんだ。」
 「でも、もうすぐ年度末だから、夏生ちゃんの契約期間切れますよ。」
 「切れたら、もっと付き合い易くなる。」
 新婚・鈴木は、「俺はこうはなるまい。」
自分に誓って去って行った。
魔性の人妻・夏生の契約が切れる時が来た。
「昼飯でも。」と誘ったが
「今日は旦那とコンサートに行くから早退します。」
と笑顔で言われがっかりした。夏生からは悲しい酒の匂いがした。       終


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