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田中フラミンゴ太郎さん

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内臓くれえ

18/01/07 コンテスト(テーマ):第152回 時空モノガタリ文学賞 【 酒 】 コメント:0件 田中フラミンゴ太郎 閲覧数:55

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ひとりの女がバーで酒をのんでいる。背後からひげ面の男が近づいてきて、女のとなりに座る。
「ビールを」と男は注文する。
すぐには出てこない。
「いやあ、ひどい夜だ」男は喋りだす。「君も雨宿りかい?」
女が首をふる。彼女はボーイフレンドを待っているのだ。だけど、恋人を待つあいだに他の男から口説かれて、ゆらめいてしまってもいいと思っている。私を待たせるあの人が悪いのだ
「内臓をくれ」
ぽつりと、男がつぶやく。
「え?」
「今朝、とつぜん不安になったんだ。ちゃんと内臓がぜんぶそろってるだろうかって。あんまり不安で不安でしかたがないから、ひと思いに包丁で腹を割いてみた。そしたらどうだ……からっぽなんだ! お嬢さん、俺には内臓がひとつもないんだ! びっくりしたよ! はやくなんとかしなくちゃいけない、そう思って家を飛びだした。だけど病院にいく金はない。俺は途方にくれて街をさまよった。夜になった。俺は行くあてもなく、こうしてバーにやってきた。そして君をみつけたわけだ……」
ビールがさしだされる。
女は男のユーモアに大爆笑だ。息もたえだえだ。
男が叫ぶ。
「内臓くれええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!」
夜をつらぬく狂声だ。
月のウサギが飛びあがる。


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