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田中フラミンゴ太郎さん

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アップルパイとソーダ

18/01/07 コンテスト(テーマ):第151回 時空モノガタリ文学賞 【 あばずれ 】 コメント:1件 田中フラミンゴ太郎 閲覧数:68

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アップルパイとソーダ。それだけでうへえな夜もある。そんな夜って、めったにないけどね。

ある晩、僕は歩いていた。自分が何者であるかはしっかりと自覚していた。だから繁華街ですれちがう人たちに、「やあ、スーパースター」と声をかけられても、べつに戸惑ったりはしなかった。まさしく僕はスーパースターなのだ。
未成年。天才ロックンローラー。スーパースター。それが僕の肩書きだった。
「待って、あなたに夢中よ」家を出てから五百五十番目にすれちがった女に背後からそう呼び止められて、僕はふりかえった。いい女だった。
「こんばんはスーパースター。これから一緒にアップルパイでもどう?」と女はいった。
「いいね」と僕はこたえた。
「うちにたくさんあるの。今朝、作りすぎちゃって」
「いいね」
僕たちは女の家に向かった。町で一番大きな芝生公園のまん中に、彼女のアパートはたっていた。
灰色で四角くて小さい、ゴマ豆腐みたいなアパートだった。
部屋にあがるなり、「さあめしあがれ」といって女は僕の口にアップルパイを押し込んだ。
それは巨大なアップルパイだった。オーストラリア大陸ぐらいあったと思う。すごくパサパサしていた。
「ねえ、飲み物ある?」
「ソーダが」
「ちょうだい」
宇宙ロケットみたいに大きなソーダ瓶が差しだされた。
「うへえ」と僕はうめいた。
うへえ、って気分だったよ。本当に。
涼しい夜の出来事さ。


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このストーリーに関するコメント

18/01/13 凸山▲@感想を書きたい

拝読しました。
『灰色で四角くて小さい、ゴマ豆腐みたいなアパート』という表現がとても好みです。テーマとの関連はよくわかりませんでした。

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