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桜野さん

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酒では酔っても酔わされない

18/01/05 コンテスト(テーマ):第152回 時空モノガタリ文学賞 【 酒 】 コメント:0件 桜野 閲覧数:327

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酒は飲んでも飲まれるなという言葉があるが、誰だって酔わなきゃやっていられない時もある。

「お客さん、そろそろ止した方のが……」
「いーや!今日は朝まで飲むの〜」

失恋したばかりの女に効くのは、今はお酒しかないのだから。

バーのマスターはため息をつき、どうしたものかと困り果てていると、扉が開く音が店内に響く。

「マスター、カクテルお願いできるかい」
「はい」

客の男は、カウンターで突っ伏している女の隣に座ると、マスターにカクテルを頼んだ。

「はぁ……なんで男って綺麗な女の方ばっかいっちゃうのよ……」

かなり酔いが回っているらしく、ワイン片手に女がポツリポツリと言葉を溢す。

そんな女の前に、綺麗なピンク色のカクテルが差し出された。

「どうぞ」
「なぁに〜?ナンパァ?」

ニヤニヤと笑みを浮かべながら女が言うと、男は、笑みを浮かべながら答える。

「こんな素敵な女性がいるのに、声をかけないのは失礼ですからね」
「ッ……あはははは!!素敵?私が?」

女は冗談でしょとでも言いたげに笑うが、男の手が女の手に重ねられ、女の鼓動は高鳴った。

「冗談に、見えますか?」

真っ直ぐに女に向けられる視線は真剣で、お酒のせいなのか、女の顔は一気に熱を持つ。

「ははは……私ここに来る前フラれてるんだよ?」
「それは、相手の方の見る目がなかったようですね」

そんな恥ずかしいことをさらりと言えてしまうのだから、きっと今までもこうして女を落としてきたに違いない。

顔もよく見るとイケメンで、こんな男になら騙されてもいいかもしれないなんて女は思ってしまうが、男から貰ったカクテルを一気に飲み干すと、フラつく足取りで扉へと歩く。

「その手にはのらないよ〜!じゃあねぇ〜」

そう言って女は男にヒラヒラと手を振ると、お店を出ていってしまった。

「結構本気だったんだけどなぁ……」

ポツリと溢された男の言葉に、マスターはそっと口を緩め、新しいお酒を男に差し出した。


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