デヴォン黒桃さん

「黒桃将太郎」名義でKindle作家として活動。「デヴォン黒桃」名義で猫面師としてアート活動も。人間ドラマや人の感情に興味があり、書きたい物をジャンル問わず書いております。「黒桃短篇集」発売中昭和浪漫のスコシばかり怪異なお話、アナタの脳髄へソット、注入サせて頂きます。 心の臓のヨワい御方は、お引き返し下さい。 精神に異常をキタしても、責任が取れませぬ故。http://amzn.to/2jPBe4m

性別 男性
将来の夢 りっぱなおとな
座右の銘 悔しいけど感じちゃう

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火葬

17/12/30 コンテスト(テーマ):第150回 時空モノガタリ文学賞 【 悲劇 】 コメント:0件 デヴォン黒桃 閲覧数:178

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 君の身体から体温が消え行くのをジット見守った夜から数日。
 これから独りで、ドウヤッテ生きてゆけばいいのだろう……
 朧な頭では、何も考えられない。

 黒塗りの車に揺られ、喪服のボク。

 辿り着いたるは、飾られた、長方形の命の終着。

 死に化粧。

 この棺の中に居るのは、間違いなくキミなのだが。
 
 魂が旅立ち、肉体を離れたからだろうか?
 何時も見ていたキミと違うように見える。
 
 ボクの眼が、涙に滲んでいるからだろうか?
 何時も見ていたキミと違うように見える。
 
 別れたくないと、ジッと見つめすぎたからだろうか?
 何時も見ていたキミと違うように見える。

 それとも本当は、コンナ顔をしていたのかもしれないね。
 何時も見ていたキミと違うように見える。
 
 違うように見えるのは、もう笑って呉れないからだろうか?

 目を細めて、広角を上げて。
 声を出し、手を差し伸べて。
 表情から滲み出ていた愛情も、肉体からは消え去った……
 
 キミが、死の際に零した言葉が忘れられない。
 アノ時見ていたキミの面影が、脳髄にコビリツイて呉れている。
 
 ありがとう。

 モット、気の利いた言葉を……と、何夜も探したんだけれど。
 口から出た言葉は、ありがとうだった。

 ありがとう。

 唇を噛んだ侭呟きながら、火葬場の着火ボタンをこの手で押す。

 出会いから別れまで、全てこの手で独り占めしたいんだよ。
 ボクがキミを、骨にする。
 他の誰にもさせやしない。

 嗚呼、叶うならば、焼け残ったキミの骨を噛み砕き、飲み込んでボクの一部にしたい。

 それが、キミの熱を感じる最後の儀式と思えて仕方ないんだよ。


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