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藤原光さん

藤原光 ふじわらひかる。ブログ「ひかるのこころhikaru99.com」を運営。 掌編小説や、ショートショートと呼ばれる、短めの小説を書いています。人間観察や、風刺的なものが主です。 Twitter @fhikaru99

性別 男性
将来の夢 心理学者・カウンセラー
座右の銘 人間万事塞翁が馬

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とあるアムステルダムの飾り窓赤線売春地区にて

17/12/30 コンテスト(テーマ):第151回 時空モノガタリ文学賞 【 あばずれ 】 コメント:0件 藤原光 閲覧数:99

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輝は友人とのヨーロッパ旅行でオランダを訪れた。この日は各自自由行動となった。輝は自由行動中に有名な飾り窓地区を訪れた。輝は日もくれた赤いライトが揺らめく飾り窓地区を、1人で興味津々で散策していた。
どこもかしこも、麻薬のにおいが漂っている。狭い裏路地を入ると、両脇は赤く照らされているガラス窓。いくつかの窓は映画祭のレッドカーペットを少し怪しく黒くしたようなカーテンが閉まっている。空いている窓からは、スタイル抜群の女性が下着や水着姿で手招きをしている。輝も何度か彼女たちと目が合った。足を止めると、彼女たちはガチャリと窓を開けてくる。カーテンのしまった窓からは、人生が不満で顔が歪んでしまった小太りの中年のおじさんが、一瞬の満足を得たような満足げな顔をして出てきた。カメラを向けている中国人観光客には、愛想の良かった女の子も、鬼の形相で写真を消せと胸ぐらをつかんでいる。輝はなんとも背筋の凍る思いで、恐る恐る赤い神妙な地区を進んでいった。もうひとつ先の路地を入ったすぐ右手の窓の女性と目があった。輝はまた愛想笑いをし、目をそらした。しかし一瞬、と言っても一秒ほど無意識に考え、再度その女性を見返した。その瞳にはなんとなく懐かしい気がした。
輝「いやさすがにないだろう。」と思ったが、その女性は何かを悟ったように、輝に微笑みかけている。しかし輝が見つめると、女性は目をそらした。輝は腑に落ちて、女性の窓をノックした。
輝「あの」
女性「こんにちは。」
女性はぎこちなく笑みを浮かべ、目が泳いでいる。
輝「アンナ、だよね?」
女性は一気に肩の力が抜け肩を落とし、同時に深く息を吹いた。
女性「そうだよ、久しぶり!元気?」
輝「そうそう、久しぶり!見間違いかと思ったけど、やっぱりそうだったんだ。」
女性は、交換留学の時にあった、ポーランド人のアンナだった。ワッフルばかり食べているからあだ名はワッフルであった。
アンナ以下ア「ちょっとびっくりしちゃった。」
輝「どうしてまたここで?」
ア「大学院に行こうと思ったから、まとまったお金が必要なの。だから今は頑張って資金を貯めているの。」
輝「ああ、そうだったんだ。確かにどこの国も学費上がっているしね。イギリスなんて顕著。しかもブレキジットもあるから。」
ア「でも、昔の友達には見られたくなかったかな。」
輝「ああ、そうか。でもここだと合法なんでしょ?」
ア「そうそう、合法なの。本当に見られたのがあなたでよかったわ。他の人だったら一生何言われるかわかんないもん」
輝「学費も大変だし、手っ取り早く稼げるから合理的だよね。」
ア「ほんと。カフェでバイトとかが馬鹿らしくなっちゃう。」
輝「危なくはないの?」
ア「政府が管理しているからすごーく安全。そこの赤いボタンあるでしょ?あれ押すと本部から連絡が来るの。」
アンナは怪しく薄暗い部屋の壁にある赤いSOSボタンを指さす。
輝「おお、すごいんだね。合法とは言え、なんかちょっと偏見持っちゃっててごめん。」
ア「合法ってことは、国が管理できるってことだからね。私も個人事業主だよ、CEO。」
輝「かっこいい表現だね。まさか飾り窓でCEOっていう単語を聞くとはね。」
ア「でしょでしょ!」
輝「でも、危なくないって言ってもヤバい人とかいそう。」
ア「そうなんだよ!たまにすごーく口臭かったり、こいつとやらなきゃいけないのかー。っていうやつもいるの。そういう時は値段高く言うけど、実際いくらもらってもやりたくない人もいるね。」
輝「やっぱ、そこは仕事なんだね。プロだわ。」
ア「だってCEOだもん。」
輝「なるほどね。」
ア「せっかく来たんだし、試していかない?」
輝「・・え?」
ア「50ユーロ」
輝「おお、っていうか50ユーロって。笑。この前の時は・・・」
アンナは輝が言いかけたのをかき消すように
ア「だって今は付き合ってないし、私は仕事中で輝は客だよ?50ユーロ。」
輝「なるほど。なんとなくわかったわ。でもいいかな。」
ア「輝もう窓の中に入っちゃってるわけだし、いやならあの赤いボタン押すよ?」
輝「ああ、分かった分かった。」
輝は財布から50ユーロ取り出す。アンナはおもむろに輝の服を脱がし始め、自分も水着を脱いで・・・。
15分後。
ア「なんかここアムスじゃないみたいだった。」
輝「ほんとだよ。イギリスにもどったみたい。」
輝はアンナの唇にキスをした。
ア「アムステルダムでは、売春婦に口にキスはご法度だから、気を付けてね。」
輝「そうなんだ知らなかった。」
ア「とにかく楽しかったわ。私が窓を開けるからサッと出てね。お元気で。」
輝はアンナを後にすると、しばらくアムステルダムの川辺をたたずんでいた。翌日合流した友人に昨日の何やっていたのかを聞かれた。輝はワッフルを食べていたことにした。


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