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徒然さん

ツレヅレと申します。 文章の裏側に隠した意図が伝えられる様になりたい。

性別 男性
将来の夢 孫の顔を見て死ぬこと 注:非リア
座右の銘 まぁ。

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アバズレとマジメガネ

17/12/25 コンテスト(テーマ):第151回 時空モノガタリ文学賞 【 あばずれ 】 コメント:0件 徒然 閲覧数:78

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教室の扉を開ける。一斉に視線が私に降り注ぎ、そいつらが私を私と認識した途端に逃げる様に視線を逸らす。

「来たよアバズレ…」
「なんかまた傷増えてる…何したんだろ…」
「昼休みまでナニしてたんだろビッチ女。」
どうせ何言ったって理解してくれやしない。
何もかも悪い方に転がるんだ。
地毛の茶髪も、クソ親父の悪酒でつけられた青アザも、理解してくれない先生への反抗で短くしたスカートも、全て私が悪い子だからしてる事になる。
酔っ払った親父から逃げた夜、警察に補導されて家に戻された私に待っていたのは暴力だった。
それなのに周りはは私だけを問題児扱いする。この教室もそう。
空気に耐えきれなくなった私は鞄を机に投げ捨てて、教室を出た。
背中を追いかけるような人影が見えた気がしたけど、振り向く事は出来なかった。

屋上の扉を開けると先にいた女子グループが私の顔を見て逃げていった。
援交してるとかレディースに入ってるとか、身に覚えのない噂が走り回る学校じゃ仕方ない、か。
フェンスを背にして適当な場所に腰を下ろす。
気づくと目の前に人影。パンツ見られるのは恥ずかしいから足の間を手で押さえて隠す。
「阿部さんヒョウ柄とかそういうイメージだった。」
「は?」
目の前に立っていたのは同じクラスの伊達博人とかいう根暗メガネだった。
確か入試で一位とかいうインテリ。いつも教室の隅で休憩時間も本を読んでるイメージしか無い。誰かと話してるイメージも無い。というかまともに授業受けてないからほぼ知らない。
でも初めて会話するのにパンツの色のイメージとか話して来る段階でまともじゃ無いのはわかった。
「何?」
「え、下着の話。」
「いやそうじゃなくて。何の用?」
「阿部さんの事もっと知りたいなって思って後つけて来たんだけど。」
あ、こいつ本当にヤバい奴だ。
「意味わかんない。消えろよ。」
「アバズレって言われてるけど、阿部さんそんな人じゃないよね。」
話が通じないのも腹が立ったけど、何より君の事はわかってるよって言い方に私の怒りは一気に込み上げた。お前に何がわかる。

理性が戻った時、私は胸倉を掴んでいた事に気づく。こう言う事するから、理解されないんだって知ってるのに。後悔が心を覆う。
「先月たまたま夜歩いてたらさ、顔腫らしながら家から飛び出す阿部さん見たんだよね。殴られたんだなってすぐわかった。その後公園で泣いてた阿部さん見て、本当の阿部さんはこっちなんだなってわかった。」
コイツは胸倉掴まれてるのにビビりもせず私の目を真っ直ぐに見つめながら口を動かした。
こんな事したくないの知ってるよって目が、辛くなって手を離した。
うるさい。うるさいうるさいうるさいうるさい。


何でかわからないけど、言葉は出なかった。
初めて、学校で私を見てくれてるって勘違いしたせいで、たまらなく泣きたい。俯く私にコイツは言葉を止めない。
「でも学校じゃ阿部さんの悪口ばっかり聞こえてくる。そうじゃないって言いたくても、信じてもらえない。でも、そんな事関係ないんだよね。阿部さんの事好きだから。」
涙が引っ込む。
「や、いや、は?」
「知らない事は知りたい性格なんだけど、阿部さんの事知りたいってずっと思うようになって、これが恋なのかなって。」
「いや、待って。好きと興味は違うから。」
「辞書に思い焦がれる事って書いてあった。俺は阿部さんに思い焦がれてる。ネットにはシたいと思ったら恋だって書いてあって、俺は阿部さんとシたいと思ってるしさっきパンツ見えて正直今勃」
「違うから!!それは間違った情報だから!お前がシたいのはただ年相応に発情してるだけだクソメガネ!」
「みんなに言われてるのはクソメガネじゃなくてマジメガネです。阿部玲子に似せてアバズレって言われてる阿部さんに似た感覚で割と気に入ってるんだけど?」
聞いてない。やっぱりヤバい奴だ。
でも久しぶりにこんな会話してる。会話してくれてる、いや、会話させられてる。人として見てくれてる。
気持ち悪いけど、気分は悪くない。
「…それアンタも嫌われてるんじゃん。」
「阿部さんと一緒ならいい。気持ち悪いの自覚してるから許して。ついでにもう少し会話させて。久しぶりにこんな話せて、罵倒されてても嬉しい。」
「本当にキモいよお前…」
「目覚めそう。」
諦めよう。コイツは折れないタイプだ。
でもどうでもいいや。私と同じように喜んでるってちょっと面白い。
「……わかった。許す。」
「シてくれるの!?」
本気で殴った。


初めて、今日の学校は楽しい。


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