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エアさん

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SNSの向こう側で

17/12/24 コンテスト(テーマ):第150回 時空モノガタリ文学賞 【 悲劇 】 コメント:0件 エア 閲覧数:113

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 ある日、ネットサーフィンをしていたら、男性が殺害されるという事件を見つけた。と言っても、正当防衛であり、何でも、夜に犯人の男が包丁を持って突然家に押し入ってきたが、被害者の男性が隙を見計らって包丁を奪い取り、犯人の胸を刺したそうだ。だが、この殺された男の名前を見た時、私は唖然とした。何故なら、この男はつい最近まで、私がSNSで交流していた人物だったからだ。
 
 男は精神障害を患っており、勉強も運動も出来ず、喧嘩も頭も弱く、自信も能力も無い癖にプライドだけは高く、容姿も素行も悪かったことから、男子から虐められ、女子や教師にも嫌われていた。
 社会に出た後も、仕事が出来ないことから、度々職場を試用期間内に解雇されて鬱病になり、働けないことを知った親戚によって家を追い出され、現在は公営住宅で母親と貧しい2人暮らしであるが、家事や金銭管理が苦手で、収入や貯金も無い癖に、趣味のゲームを大量に買っている。唯一男の理解者であった母親も還暦を過ぎた後も近くのスーパーで、週6パートで働いているが、だんだんと仲が悪くなっているという。
 私が男と出会ったのは、SNS上で私と同じ障害を持っていたことから知り合った。この時は、私も就職が上手くいかず、落ち込んでいた事から、同じような臭いを感じ取った。それがきっかけで、以後、2人でゲームやアニメの話題で盛り上がったり、仕事や社会に対する不満を吐き出したりした。でも、次第に「このままではいけない」と思った私は作業所で働き始め、後に障害者枠でとある会社に就労することが出来た。一方で、男は解雇された時の恐怖から、就職はおろか、施設への相談にも行けず、それを見た私が「作業所はどうですか?」「その考えは良くないよ」と、彼に色々な提案、助言、ダメ出しをしてきたが、全く行動に移してくれなかった。
 そんなある日の事だった。
「母親が出て行った」
 男のメッセージにそんな一文を見つけた。精神障害があるとはいえ、ニートを養い続ける事に痺れを切らしたのだろう。
「そろそろ働いたらどうなの?」
 そう尋ねたが、
「クビになるのが怖い」
 と言って、未だに動こうとしなかった。こんな時でも、未だに働こうとしないのかと、苛立ちを覚えた。
 その後も、何とか彼を説得したが、全く応じず、遂にこんな言葉が出た。
「母親にも見捨てられたから、もう失うものはない。自分を虐めた奴や自分を見捨てた親戚を全員殺して、自分も死ぬ」
 遂に、犯罪予告を書いてしまった。
 もう駄目だ。見かねた私は、絶縁状を書くつもりで問題のURLをコピペして、運営に通報した。その翌日、彼のアカウントは凍結された。今後彼と関わる事は無いだろうから、もう彼の事は忘れよう。その思った矢先の事だった。結局、彼はその思いも果たせず、呆気ない最期を遂げてしまった。
 彼が最期にやろうとしたことは許されない事だし、彼の性格はネット上から何となく分かっていたけど、それでも自分が彼に対して何も出来なかった事、犯罪を止める事が出来なかった事を思うと、とても悲しくなった。ニュースを読んだ私の目から、涙がこぼれ落ちた。


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