1. トップページ
  2. 少しは大人になったのかしら

戸松有葉さん

ショートショート:小説投稿サイト「小説家になろう」で1001作以上、本サイト「時空モノガタリ」で入賞複数。 他、長編ライトノベルやエッセイなども。コメディ得意。 Amazon Kindle(電子書籍)http://amzn.to/1Xau7kMで活動中。(←URLは、Kindleストアを著者名「戸松有葉」で検索した結果。)代表作は『ショートショート集厳選集』とラノベの『二次元最高美少女』。 ツイッターは@tomatuariha3lb

性別
将来の夢 積極的安楽死法案
座右の銘 常識を疑え

投稿済みの作品

0

少しは大人になったのかしら

17/12/18 コンテスト(テーマ):第151回 時空モノガタリ文学賞 【 あばずれ 】 コメント:0件 戸松有葉 閲覧数:97

この作品を評価する

 直接の面識はないよ。ああいう子は……「子」なんていう歳でもないかの、ああいう人はいくらでもおる。彼女はその中では結果に恵まれている人じゃの。恵まれたから、誹謗中傷を公然と受けるわけじゃが。
 インターネットがあるからこうして叩かれとるわけじゃないわい、なかった頃はそれが目に付かなかっただけじゃ。ネットのほうが、匿名性はあっても、わかる者にはわかる分リスクは背負っとる。
 もし彼女が見たなら、誰が書いているかは一目瞭然じゃ。まあそれは、中傷しとるほうが隠す気もないからじゃが。
 自信満々ということじゃな。非難が正しいと思っとる。
 しかしの、具体的な非は誰も挙げておらん。何も触れないか、むしろわざわざ、努力は認めるとしておる。頼れるのは、「みんなが迷惑していた」「みんながお前を悪いと言っている」だけじゃ。
 そんで彼女を非難する者たちは、彼女とは違って、何の努力もせず結果も残さず、陰口叩いて足引っ張って、それだけしかしてこんかった。そんな「みんな」の評価にいったい何の価値があるのか、聞いてみたいわい。
 彼女は確かに、思い通りにならないと、感情的に他人を責めたり大声で喚いたりしていたようじゃ。デマが書かれているとは思わん。さっき言ったように、そういう人はいくらでもおる。
 スポットライトの当たる仕事をしている今でもそうなのかと、挑発されておるの。『少しは大人になったのかしら』とな。
 随分見下しておるわけじゃが、この「思い通りにならないと」というのは、わがままとはまるで違うものじゃ。わがままなのは人間誰しも共通か、もしくは今中傷しておる奴らのほうじゃからの。
 言い方を替えたほうがわかりやすい。「自分の描いた思い通りに」ではなく、「決まり事の通りに」なんじゃ。真面目というのとは違うかもしれんが、まだ近い。決まり事の通りにしない者を許せんのじゃ、決まり事の通りに自分がしているのを邪魔されるのが許せんのじゃ。
 決まり事の通りにしていないのは、周囲のほう、つまりわがままな奴らのほうじゃろ。
 友人恋人とのトラブルを色々書かれておるが、全部さっきから言っとるように、彼女の具体的な非は書かれておらん。金銭絡みや不貞といったものが一つでもあったかの。あるなら書けばいいんじゃ、そうすれば中傷しておるほうも賛同得られて本望じゃろうに、何故書かん。何もないからじゃと断言するわい。
 彼女のような気質を持って生まれておると、ストレスが溜まりやすい。かつては周囲に見せておって、それが反感を買っておるわけじゃが、今は処世術いや自己防衛術を身に付けて、大人しいキャラクターを作っておるの。人々の注目を浴びる仕事にまで上り詰めておきながら、本当に大人しいなんてことは、そうそうないわい。そういうキャラクーを作ることで、ストレスも溜めにくくできて、周囲とのトラブルも起きにくくできておる、ということじゃろう。
 それでも稀に本性は垣間見えとる。全部は隠せん。「決まり事の通りに」がうまくいかず、時間的に焦る状況なら、感情的になったりしておるよ。
 もっとも、かつてとは違って、今は周囲も努力し結果を残してきた者たちじゃ。本性を多少見せたところで逆恨みなどせんじゃろ。
 何より、今は大勢のファンが付いておる。ファンは過去を知ったからと掌を返すかの。とうに情報は広まっておるのに、人気は高まる一方じゃ。過去のことだからというのもあるかもしれんが、やはりの、具体的に彼女の非がないから幻滅のしようもないんじゃ。
 それでも中傷しとるほうは納得せんから、以前からと同じように、自分は努力もせず結果も残さず、陰口叩いて足を引っ張ろうと躍起になっておる。
 そうそう、中傷の文句が尽きてきたからか、『あばずれ』とも言い出しておるの。笑ってしまうわ。暴力も振るわず説教する大人に対して、子供はそう評するかの。彼女と、かつての周囲との関係は、どうだったかの。
 その周囲が特別だったわけがない。今ファンだという人らでも無関係な人らでも、どっち側の人間かといえば……。

(了)


コメント・評価を投稿する

コメントの投稿するにはログインしてください。
コメントを入力してください。

このストーリーに関するコメント

ログイン