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ちりょう なひろさん

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思春期障害

17/12/08 コンテスト(テーマ):第149回 時空モノガタリ文学賞 【 弁当 】 コメント:0件 ちりょう なひろ 閲覧数:296

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 母が作った弁当にロールキャベツが入っていて全てのおかずと飯を浸す汁を半ば投げやりとなった僕は啜る。

 ズズズッっと。

 あらゆるものが混ざったロールキャベツから染み出た汁は複雑怪奇な不味さでそこに思い遣りは微塵も感じられずにいた。 
 隣の席で弁当を食べるあまり仲の良くないミユはそんな僕の愛情たっぷりロールキャベツから出た憎しみ汁に浸される冷食とサトウのごはん達を見て見ぬ振りをする。
 なんか文句でもあんのか? と訝し気にミユを見遣るが彼女はひたすら僕と目を合わせまいと己の弁当に食らいついていた。からあげがとてもおいしそうなお弁当だった。ロールキャベツと交換してはくれないだろうか。

 幼少期の僕はロールキャベツが好きな子供だった。学校から帰ってきて今日の夕飯を母に尋ねロールキャベツと聞けば手放しで喜ぶ子供だった。ちょろい子供だった。母の作るロールキャベツは別段特別なこだわりがあるというものではない。コンソメの元と塩、コショウで味付けられた汁にキャベツで巻かれた肉をぶち込んである、ただそれだけだった。もちろん干瓢でヒモ巻きなどしておらず、爪楊枝が中心にぶっ刺されているだけだった。でも大好きだった。
 コンソメの素で作られた汁が不味いわけがなかったし、煮込まれたキャベツと肉、それから出る出汁も不味いわけがない。そこには純粋な旨さがあった。

 僕はジャンクフードも濃厚を謳っている何味なのか分からないラーメンもナ二人なのか分からない奴が作っている本格カリーも大好きだった、たぶんこれらは混ぜても旨いのだろう。
 しかし純粋さを誇るものにはそれが駄目だということに愚かにも気付けなかった。それだけのことだった。これは過ちかと問われればそれは違う。これは事故だった。だから仕方の無いことだった。

「ババァッ。なに弁当にロールキャベツ入れてんだよッ」と家に着くなり早々に母にぶち切れるのも事故だ。

 思春期には障害が多いので仕方がなかった。


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