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大久保 舞さん

無名のフリーライターをやっていますが、小説家になるために本格的に活動してみることにしました。 ショートショートは読むのも書くのも大好きです。 普段はカクヨムメインで活動中。 https://kakuyomu.jp/users/mai_ookubo アイコンは大好きな漫画家の巳年キリンさんに描いて頂きました。

性別 女性
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怨むべき人

17/12/08 コンテスト(テーマ):第150回 時空モノガタリ文学賞 【 悲劇 】 コメント:0件 大久保 舞 閲覧数:141

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復讐の機会は、満を持して訪れた。

それは、成人式。

クラスの中心グループだった奴らは、間違いなく来るだろう。

僕は、黙って成人式の知らせの紙を握り締めた。


「あっれ〜、久しぶりじゃん!!」

こそこそ隠れるように成人式の会場に向かった僕に、奴らは声をかけてきた。

「俺たち、あれからずっと心配してたんだよ。良かった、元気そうで」


奴らはそれほど変わってはいなかった。

でも、一つだけ違うところがあった。

僕に対しての、悪意がなくなっていたことだ。


成人式後の同窓会を兼ねた居酒屋の集まりで、ごくごく普通に元同級生たちと会話した。

恐怖心もあった。

だけど・・・楽しかった。


居酒屋の帰り際、手をひらひらと皆に振る僕の中には、すっかりとなくなっているものがあった。

人を、怨む気持ち。


心にぽっかりと穴があいた気分だった。

家に帰ってから顔でも洗おうと洗面台に向かった僕は、復讐のために用意した、ナイフを鏡の前に置く。


考えてみれば、こんな小さなナイフじゃ、誰も殺せないないよな。

僕はいったい、何をしたかったんだろう?


分かった。僕は、普通に皆と、仲良くしたかっただけなんだ。

それなら、この人を怨む気持ちは、誰に対して向けたら良いんだろう?


そうだ、いるじゃないか、復讐する相手なら。

この、鏡の中に・・・。



それに気付いた僕は、ナイフをそのまま胸に・・・


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