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小高まあなさん

鳥と怪異と特撮ヒーローが好き。 ひねくれつつも清々しい物語がモットー。

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愛しのミリア

17/12/04 コンテスト(テーマ):第148回 時空モノガタリ文学賞 【 ホラー 】 コメント:0件 小高まあな 閲覧数:268

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 どんなホラー映画よりも怖いのは、君がいなくなることだ。
 愛しい君が僕の前からいなくなる。それは僕にとって、世界の滅亡と等しい。君がいない世界で生きている意味なんてあるだろうか?
 それに僕は、君とだから生きていけるのだ。
 例え、チェーンソーを持った殺人鬼が襲ってきても、ゾンビ化した人々に囲まれても、未知のウイルスが蔓延っても、ポルターガイスト現象が家で連発しても、謎の着信が大量にあっても、呪いのビデオテープを手に入れても、頭のおかしい女に監禁されることになっても、君を失うことに比べたら、何一つ怖くない。
 そして、君とならば、どんな困難だって切り抜けられる。そういう自信がある。
「そうだろ? ミリア」
 僕の呼びかけに、君はグルグルという唸りで返事をした。これは肯定だ。僕にはわかる。
 愛しいミリア、可愛いミリア。
 縦にも横にも僕の二倍はある体格、硬い皮膚、紫の体毛。君は僕の最高傑作だ。
「君ならどんな困難も薙ぎ払ってくれるだろうね」
 その長い爪で、鋭い牙で。
 ミリアが唸る。体をよじる。
「どうした、ミリア。大人しくしてないと」
 鎮痛剤が必要かもしれない。彼女は最近、暴れることが増えた。首輪を頑丈なものにしたけど。大きな物音を立てると近所の人に不審がられる。
 鎮痛剤を探すためにミリアに背を向ける。
 ぶちりと何かが切れる音がした。
「ミリア?」
 不思議に思って振り返った僕の目に写ったのは、太い腕を僕に向かって振り下ろそうとするミリアの姿だった。

※※

「この前、なんか自称発明家が殺された事件あるじゃん?」
「ああ、あの古い家ね」
「そうそう、あそこにさ、なんか大きな動物を飼ってた形跡があるんだって。首輪が引きちぎられて」
「えー、クマとか?」
「それがさ、あそこで見つかった死体、発明家のものだけじゃなくて、いくつかあったらしいよ。その大きな動物の餌じゃないかって」
「なにそれ、やばくない?」
「やばいよねー。その辺にいるのかも」
「モー、怖いの苦手なんだからやめてよ!」
 ふざけながら下校する女子高生二人。風に乗ってどこからか、なにかの唸り声がした。


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