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大久保 舞さん

無名のフリーライターをやっていますが、小説家になるために本格的に活動してみることにしました。 ショートショートは読むのも書くのも大好きです。 普段はカクヨムメインで活動中。 https://kakuyomu.jp/users/mai_ookubo アイコンは大好きな漫画家の巳年キリンさんに描いて頂きました。

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自殺嫌いな男

17/12/04 コンテスト(テーマ):第150回 時空モノガタリ文学賞 【 悲劇 】 コメント:0件 大久保 舞 閲覧数:170

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「また人身事故か」

男はそう言って、チッと舌を鳴らした。

自殺大国である日本では、人身事故は珍しくもなんともない。


あるサラリーマンの男は会社まで電車通勤をしていた。

だから、通勤中や帰宅中に、人身事故のせいで足止めをくらうことがしょっちゅうあった。

「死ぬなら人に迷惑をかけないような死に方をしろよ」

男は、自殺が大嫌いだった。


ある日その男に、知人の女が、女の母親のことに関して相談してきた。

男は、暗い悩みは自殺の次に嫌いだったが、女に対して下心があったので、相談に乗った。

女の母親は、訳があってお金に困っており、自殺しそうなぐらいに悩んでいるようだから、心配だと女は話した。


「死ぬ気になればなんでも出来るだろ?君のお母さんが弱いだけの話だね」

男は、続けて言った。

「そんな金にルーズな奴なんか、死なせてやった方が良いんじゃない?」


女は、無言で男の元を去っていった。

男は、暗い人間と関わりが切れたので、別に良いかと思った。


それから数年後。

男は、気軽な気持ちで他人の借金の連帯保証人になり、本人が失踪したために、莫大な借金を背負うことになった。

男は、例の知人の女に相談しようとしたが、女の連絡先はもう分からなかった。

SNSで女を探して連絡しても、返事は来なかった。

女は、結婚をし子供もいて、母親を含めた家族で幸せに暮らしているようだった。


男は、自殺よりも嫌いなものを知った。

孤独による絶望だ。



だから迷わず、電車が来るタイミングで線路に飛び込み、はね飛ばされた。


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