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緒方あきらさん

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インチキ霊能者

17/11/30 コンテスト(テーマ):第148回 時空モノガタリ文学賞 【 ホラー 】 コメント:0件 緒方あきら 閲覧数:233

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「まったく、最近の霊能者ってのはインチキばっかりだな」
 痩せぎすの男がそう言って酒をあおる。じっとりと暑い真夏の夜、三人の男が丸いちゃぶ台を囲んで酒盛りをしていた。
 瓶ビールがびっしりと水滴を浮かび上がらせて、つぅと滴をこぼす。空になった痩せぎすのグラスに小太りの男がビールを注いだ。
「わかるさぁ、あいつら口先ばっかりうまいこといいやがんからな」
 小太りの言葉に眼鏡が頷いた。
「本当ですよね。うちも出る出るとか言われて、妻がお金を払って除霊してもらっていましたけど、なんの効果もありゃしない。あいつらはいい加減にもほどがありますよ」
 眼鏡の言葉に痩せぎすも続けた。
「心霊写真なんて全部でっちあげだ。だってそうだろ、なんで毎回おんなじような青白い女の顔ばっか映るんだよ」
「ですよね。まさかずっとカメラの前でスタンバイしているわけでもなし」
「はははっ、そんな幽霊がいたら、そらぁ面白いけどなぁ」
 三人が声をあげて笑う。ちゃぶ台のうえには空になった瓶や缶が転がっているが、彼らは酒に強いのか、大して顔色を変えることもなく杯を重ねていた。
「心霊番組ってのも増えたよな。やれ廃墟だ、いわくつきの物件だって人様の土地にずかずかとあがりこんでよ」
 痩せぎすが鼻息を荒くする。
「礼儀ってものがなっちゃいねぇさね、最近のテレビは好き勝手やってさぁ。かといってこういう夜中にはなんにも仕事をしやがらない。御覧の通りの砂嵐さぁ」
 ため息交じりに行った小太りが、ボロいテレビを小突く。
「伝説とか噂とか、ありもしないストーリーをでっちあげて垂れ流す。どういう神経をしているんですかねぇ」
 眼鏡が首を左右に振った。
 そんなふうにして三人の男は口々に霊能者や心霊番組の文句を言っては頷き合い、時には笑いあった。
 うっすらと空が白み始めたころ、痩せぎすが天井を見上げながら口を開いた。
「実はこの部屋もそういった手合いが来たことあったんだよ。でな、ここは絶対だいじょうぶ、清められている。なんていいやがるんだ。あいつらはやっぱり信用出来ねぇよ」
 痩せぎすの言葉に苦笑する二人。白い明かりが差し込み始めた窓を見あげて痩せぎすが呟いた。
「そろそろお開きにするか、夜が明けちまったぜ」
「そうですね。それじゃあお先に」
 眼鏡はそういうと砂嵐が映るテレビ画面に手を伸ばした。すぅっと吸い込まれるように眼鏡の身体はテレビの中に消えていく。
「今日は楽しかったさぁ。またな」
 小太りはテレビの電源を落とすと、ひょいと窓から飛び降りて、消えた。
 部屋に残された痩せぎすは、すっかりカビの生えたグラスとビール瓶を眺めてぽつりと呟いた。
「本当に、霊能者ってのは嘘ばっかりだ」
 ぼろきれのようなカーテンの隙間から差し込む朝日に消えていく痩せぎすの男。三人が消えたあとには、一軒の廃墟が残されていたのであった。


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