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薬包紙さん

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桜メール

17/11/16 コンテスト(テーマ):第148回 時空モノガタリ文学賞 【 ホラー 】 コメント:0件 薬包紙 閲覧数:271

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 この度は、お父さんがガンで亡くなったとのこと、メールで知り驚きました。
 モルヒネで痛みを抑えているあいだじゅううわ言を繰り返されたのですね。
 終戦直後生まれは決してはやい死でないとはいえ、遠く離れた四国から都心の病院まで駆けつけ、最期を見届けたSさん。
 ご心労のほどお察し申し上げます。

 私は思っていました。毎年届く年賀状に大きくプリントされたほんのり桜色のほっぺたをしたあなたの赤ちゃん。
 なんて居汚く太って幸せいっぱいの微笑み。
 「可愛くてしかたありません」というハート付きのコメント、裏に記された横文字のマンションの名までが甘い響きをもって耳にとびこんでくるようで、すべてが嫉ましかった。

 私が何度ももらっていたメールに初めて返信したのは、実はあなたのお父さんの訃報を知ったからではありません。
 最後の行にあった、「流産しました」の文字を見たからです。
 
 桜の花が散っていきます。
 春たけなわ、です。


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