蹴沢缶九郎さん

どうもはじめまして、蹴沢缶九郎と申します。暇つぶしに読んで頂ければ幸いです。「小説家になろう」でも同ニックネームで掌編小説を書いてます。http://mypage.syosetu.com/707565/ よろしくお願いします!!

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粗品

17/11/11 コンテスト(テーマ):第148回 時空モノガタリ文学賞 【 ホラー 】 コメント:2件 蹴沢缶九郎 閲覧数:89

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遊園地の入場ゲートで、何やら男が係員と揉めている。

「だから何でこのチケット使えないんだよ!!」

「ですから、入場規制中はそちらのチケットでは入場出来ないのでありまして…」

こんなやり取りをもう三時間程繰り返している。係員もほとほと困り果てていた。やがて男は、

「もういいよ!! 二度とこんなとこ来ねぇ!!」

と、悪態をつき帰っていった。

翌日、男の自宅のインターホンが鳴った。男が出ると、そこには誰もおらず、何やら一つの小包が置かれていた。小包には、『粗品』とだけ書かれた紙が貼られてあり、送り主が誰なのかが分からない。
不審に思いながらも男が小包を開けると、中は、昨日行った遊園地キャラクターのお菓子の詰め合わせだった。男には心当たりがあった。
男はさっそく遊園地に連絡をし、電話口の担当に小包の話をすると、相手は思いがけない返答をした。

「私共ではございません」

「嘘をつかなくてもいいよ。君達なんだろ?」

「決して冗談を言っているのではなく、本当に私共ではないのです」

「だって君の所のキャラクターのお菓子だったんだよ」

「そう申されましても…」

確かに遊園地のキャラクターグッズが届いたからといって、それだけでは遊園地側が送った物との証明にはならないし、何より、電話向こうの相手の口調は、本当に嘘や冗談を言っている様子ではなかったのだ。

「では一体誰なのだろう?」

その疑問は拭えなかったが、得をしたと男は楽観的に捉える事にした。

翌日、自宅のインターホンが鳴り、出るとそこには、『粗品』とだけ書かれた紙が貼られた遊園地キャラクターのぬいぐるみが置かれていた。
「やっぱりだ」と確信した男が遊園地に電話をする。だが、返答は、「私共ではございません」だった。

「嘘をつくな!! あんたらの遊園地のキャラクターグッズなんだぞ!!」

「しかしですねぇ…」

らちが明かないと男は電話を切った。二日連続で届いた送り主不明の届け物に、さすがに不気味さを感じた。

さらに翌日、自宅のインターホンが鳴った。急いで出るが、やはり人はおらず、『粗品』の貼り紙がされた小包。開けると遊園地キャラクター達のジグソーパズルだった。
質の悪いいたずらに犯人を捕まえてやろうと決めた男は次の日、会社を休み、一日玄関前で見張る事にした。しかし途中、男がトイレでその場を離れた少しの時間に、『粗品』は置かれていた。何者かに置かれていたのだ。小包を開けると、遊園地キャラクターがプリントされた陶器のマグカップが入っていた。男はマグカップを手に取り、怒りまかせに地面に叩きつけた。

翌日、出先から帰る男は緊張していた。玄関前にあの忌々しい『粗品』が置かれてあるのではないかと思ったのだ。
だが、玄関前には何もなく、安堵した男が自宅の鍵を開け、部屋に入ると驚愕した。テーブルの上にそれはあったのだ。

『粗品』

何故? 一体どうやって? 部屋の鍵は閉まっていた。
男はとうとう警察に連絡をする事にした。だが、届けられた荷物、部屋からは一切の指紋や靴跡といった、犯人に繋がる手がかりが見つからなかった。
男は部屋、玄関前と監視カメラを仕掛けたが、それも無駄だった。『粗品』を送り届ける相手は男を嘲笑うかのように、カメラには何も映っていなかったのだ。

その間にも毎日必ず届く『粗品』。男は住居を変えた。だが、どこで調べたのか、男の引っ越し先にも『粗品』は届いた。
その内、男は誰かの視線を感じるようになる。初めは気のせいかとも思ったが、日に日に感じる視線は強くなっていった。どこからか、誰かにずっと見られている視線…。

そして、毎日、毎日『粗品』は届けられた。ある日は浴室、またある日は車の助手席。会社のロッカーに届いていた事もあった。もう何人にも、

「この荷物を置いた、届けた人物を見なかったか?」

と聞いた。しかし、見た者は誰もいなかった。感じる視線、必ず届く『粗品』。いつ終わるとも知れない見えない相手との鬼ごっこに、男の精神が異常をきたし崩壊するのも時間の問題だった。


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このストーリーに関するコメント

17/11/11 文月めぐ

『粗品』拝読いたしました。
何回も何回も「男」のもとに届く「粗品」。最初はいたずらだと思っていても、だんだん異常に思われてくる。どこまで逃げても執拗に追ってくるところに怖さを感じました。

17/11/12 蹴沢缶九郎

文月めぐさん

ホラー物としてはやりつくされたベタな話ですが、あえてこのような話を書いてみました(笑)
ご感想、読んで頂きありがとうございました!!

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