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六連 みどりさん

六連みどりむつら みどりです。 星とファンタジーが好きです。 漫画も文庫も読みます。最近ハマってるのは異能系ミステリーです。

性別 女性
将来の夢
座右の銘 為せば成るなさねば成らぬ何事も

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すきをさがして

17/11/07 コンテスト(テーマ):第148回 時空モノガタリ文学賞 【 ホラー 】 コメント:1件 六連 みどり 閲覧数:124

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 恋人との何回目かのデートの帰り。
 青紫色と紺色が混じり合う、そんな空の色を眺める彼女の横顔をみつめた。
 スッとした鼻筋に、長いまつ毛。ピンク色の唇は弧を描いている。10人中10人が彼女のことを美女だと言うくらいに七弥の恋人は美しかった。

「どうしたの?」

 彼女と視線が交じり合う。
 その瞬間、七弥の心臓は大きな音と早い速度で鼓動をうち始めるのだ。まるで、全身が心臓になってしまったのかと錯覚してしまうほどに。

「ず、ずっと空を見てるから、どうしたのかなって」

「え、あ……ごめん。ちょっと考えごとしてたの」

「考えごと……?」

「うん……。七弥、ちょっと相談にのってくれる?」

 不安そうに見つめる彼女に、七弥は大きく頷いて「もちろん」と答えた。

 歩きながら話すには少し長くなるから、と近くの公園のブランコに座る。ゆらゆらとブランコを微かに揺らしながら彼女は、ポツポツと話しはじめた。

「最初は、勘違いだと思ったの。たまたまとか偶然だとか、言い聞かせてた。確信したのは、数日前」

 いつもなら七弥と一緒に帰っていたが、その時だけは委員会で遅くなるからと先に帰ってもらっていた。暗くなった道を街灯を頼りに歩いていたら、後ろからコツコツと自分の足音とは別の足音が聞こえてきた。

「え、もしかして……ストーカー?」

「うん……」

「なんでもっと早く言わないんだよ!」

「そんなの、最近確信したんだから仕方ないじゃない。それに相手の動きも少しおかしかったし」

「どうおかしかったんだよ」

「最初は、すぐにいなくなってたの。でも徐々についてくる距離が長くなってるの」

 まるで恐怖という名の見えない壁が迫ってきているかのようだった。そうつぶやくと彼女は、思い出してしまったのか自分の体を守るように抱きしめた。

「……今日はついてきてる?」

「ついてきてない、と思う」

「じゃあ、いないうちに早く帰ろう?」

 ブランコから立ち上がり、手を差し伸べる。
 少しだけ不安そうだったが、彼女はかすかに笑うとその手をとって立ち上がった。
 七弥は、これから先、彼女が安心する場所まで隣にいようと誓った。

 彼女を無事に家まで送り届けた。
 別れ際に、何かあったら連絡するようにと何度も言ったのできっと大丈夫なはずだ。
 自室のベッドに横たわると、疲れと部屋に響く時計の音のせいか瞼がだんだんと下がっていく。
 そのまま七弥の意識は深い夢の中へとおちていった。


 ピリリリリ、

 大きな着信音で目が覚めた。くらい部屋の中で唯一光を放っている携帯を手にとるが、着信はすでに不在着信へと変わっていた。
 彼女からの電話だと気付き、すぐさまかけ直そうとした。そんな七弥の行動を遮るかのように、彼女からメッセージが届く。

「七弥……」

「どうした?」

 彼女からの返答はなく。ただ、既読の文字がついただけだった。おかしい、そう思った七弥が電話をしようと受話器のマークを押そうとしたそのとき、ポンッと軽快な音が鳴った。

「ごめん、なんでもないの」

「そう?ならいいんだけど、ストーカーの件もあるし心配したよ」

「ごめんね、ただ七弥くんのすきをさがしてたの。そしたらつい、送っちゃったみたい」

「……七弥くん?」

「どうかしたの?」

「いや、なんでもない」

 彼女の呼び方に違和感を感じて、七弥は眉を歪ませる。本当に彼女は彼女なのだろうか。そんな疑問が頭をよぎった。きちんと彼女は送り届けたはずだ、だから他の誰かが彼女になりすましているなんて考えは頭から消した。

「なぁ、いまどこにいるんだ?」

「え、いま?家の近くのコンビニ」

「危険かもしれないのに、外に出たのか?」

「大丈夫だよ。家から近いし」

「大丈夫なわけないだろ。とりあえずコンビニで待ってろ今いくから」

 上着を着て、携帯とついでに財布をもち家を出る。道路に出ると彼女に電話をかけた。声を聞いていた方が七弥も彼女も安心すると思ったからだ。

 しかし、何回かけても彼女は電話に出ようとしない。

「どうかしたのか……?」

 何故出ないのか、そうメッセージを送ろうと携帯をながめた。そのとき、強い衝撃と痛みが七弥を襲った。

「すき、みつけたよ」

 誰かの声が微かに聞こえる。

「これで、一緒にいられるね」

 意識が遠のいていくのを感じながら、うっすらとみえた誰かの手には、彼女の携帯と怪しげに笑う唇がみえた。


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このストーリーに関するコメント

17/11/08 黒谷丹鵺

拝読しました。
彼女にストーカーの魔手が迫ってるのかと思ったら……ラスト5行に震えました。怖かったです!

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