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小高まあなさん

鳥と怪異と特撮ヒーローが好き。 ひねくれつつも清々しい物語がモットー。

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あたしにとってはデート

17/11/06 コンテスト(テーマ):第146回 時空モノガタリ文学賞 【 デート 】 コメント:0件 小高まあな 閲覧数:119

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「今度、出かけない?」
 という、非常にざっくりとしたお誘いを切り出すのに三週間かかった。隣の部屋に住む三島とは、毎日顔を合わせてるのに。
「どこに?」
 当たり前の問いかけにちょっと言葉に詰まってから、
「服、買いに行こうよ」
 なんとか目的を見つけ出した。いや、あたしの目的は出かけることそれ自体なんだけど。
「あー、季節の変わり目だもんねー」
「そうそう」
「いいけど、峯岸お金あるの? 今日だってうちに来てるのに」
「うっ……ごめん」
 給料日前で懐が寂しくなったあたしは、三島の家に夜ご飯を集りに来ているのだ。
「別にご飯はいいんだけど。ちゃんと計画的にお金使わなきゃダメだよ」
「はい……」
 しゅんっとなる。三島はたまにお母さんみたいになる。
「でも、給料日後ならあるから! それにほら、三島が見張っててくれないと、また無駄に服買っちゃうかも!」
「なに自信満々にダメなこと言ってんの」
 三島は呆れたように笑いながらも、
「わかった」
 頷いてくれた。めっちゃ嬉しい。

  三島の家の食器を片付け、隣の自分の家に戻る。
「やったー!」
 隣に聞こえないように気をつけながらも、声が大きくなる。ソファーに倒れ込む。
 我ながらひねくれていてなかなかにめんどうな性格をしているあたしは、素直に誘ったりできない。
「三島、ちょっとは元気になるといいなぁー」
 本当は、三島を心配してる。
 三週間前、あたしの反対側の隣人、美作が引っ越した。この小さなアパートに住んでいたのは三人だけだったので、仲良くやっていたから、あたしだって寂しい。
 でも、三島はそれだけじゃない。美作のことが好きだったから。告白してフラレたからもう気にしてないよ、とか言ってたけど、そんなの嘘。やっぱり、どっか寂しそう。
 三島は油断すると仕事のことしか考えないから、たまには外に連れ出してパーっと遊ぶんだ。
 あとまあ、あたしが普通に出かけたかったっていうのもあるけど。
 スケジュール帳を取り出すと、約束の日にペンを走らせる。
 ちょっと考えてから、三島とデートって。
 高校の時、クラスの男子が言っていた。女子は女子同士で出かけるのもデートっていうけど、それはデートじゃない、って。
 なんて酷いことを  と思ったけど、デートでググったら、「男女が日時を決めて会うこと」って出てきた。お前もか。
 まったく、頭がお堅くいらっしゃる。
 好きな人と出かけるのなら、それはデートに決まってるのだ。
 たとえあたしの片想いだろうとも。三島の恋愛対象にあたしが入るわけないことがわかっていても。あたしにとってこれはデートだ。
「さてと、何着ようかなー」
 まだ1週間以上先だけど。準備を楽しむのもデートの醍醐味だ。
 ランチはどうしようかなー。鼻歌なんかうたいながら、クローゼットをあけた。

 とっかえひっかえ服を出した結論は、服を買うデートに着ていく服を買いにいく必要がある、だった。


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