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戸松有葉さん

ショートショート:小説投稿サイト「小説家になろう」で1001作以上、本サイト「時空モノガタリ」で入賞複数。 他、長編ライトノベルやエッセイなども。コメディ率高し。 Amazon Kindle(電子書籍)http://amzn.to/1Xau7kMで活動中。(←URLは、Kindleストアを著者名「戸松有葉」で検索した結果。)代表作は『ショートショート集厳選集』とラノベの『二次元最高美少女』。 ツイッターは@tomatuariha

性別
将来の夢 積極的安楽死法案を通すこと
座右の銘 常識を疑え

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恐怖心を与える能力ッ!

17/11/06 コンテスト(テーマ):第148回 時空モノガタリ文学賞 【 ホラー 】 コメント:0件 戸松有葉 閲覧数:51

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 日常が壊れたあの日から、少年は高校からの帰宅さえすんなりさせてもらえない。
 今も人気のない路上で、敵の刺客が道を塞いでいた。
 ……のだが、その刺客、
「お前何歳だ」少年は思わず尋ねた。
「な、何歳でもいいですっ!」
 園児か小学低学年にしか見えない、幼女がそこには居た。しかも、子供という点を抜きにしても、可愛い容姿をしている。子供という点を加味すれば、より可愛らしいということだ。
 そんなのが刺客として自分に向けられていると言われても、実感が湧かない。
「どんな異能持ってるか知らないが、さすがに俺も子供相手に戦うのは……」
「にゃ、にゃめないでくださいっ! あたしの異能は強いから!」
 舌足らずの可愛らしい声で言ってくる。表情は真剣だ。あざとさのためにやっているわけではないのだろう。だが可愛いのに変わりはない。
「まあお前も戦わずに帰れないんだろうが……。で、お前の異能ってどんなの?」
 敵に自身の手の内を明かすなど愚か者のすること。だが異能バトルにおいては案外教えてくれるものであるし、何より相手は幼女だ。
「聞いて驚くがいいです!」
 やはり教えてくれるらしい。
「恐怖心を与える能力、その名も、ホラー!」
「ネーミングそのままだな、もう少し中二っぽさが欲しかった」
「にゃんの評価をしてるですか! もういいです、食らうがいいです!」
 幼女……刺客の異能力が炸裂する!
 恐怖心を与えるとしていたように、精神に作用する攻撃だ。派手さはない。だが、効き目は抜群だった。
 少年は足がすくみ、全身を小刻みに震わせ、恐怖に支配された。
「こ、これは……」
「ふふん」得意気幼女。「怖い異能はいっぱいあるですが、そういうのは人によって心が強かったり怖いものが違ったりすると、怖がってくれないこともあるです。でも! あたしのホラーは、恐怖心を与える能力。だから絶対恐怖は感じるです!」
 防ぎようのない、手強い能力だ。少年も認めざるを得ない。あくまでも、異能力の素晴らしさを。
「なかなかやるな。俺は恐怖で自分の異能も満足に使えそうにない」
「あたしにかかればあんたなんて楽勝ですっ」
「で?」
「はい?」
「いやだから、俺は恐怖で弱ってるが、お前に何か出来るのか? 仲間も連れてないだろ」
 もし他に仲間がいたら、一方的にやられていてもおかしくなかった。しかし目の前には、可愛らしい幼女が一人である。
「い、異能も使えなくなった相手なら、あたしにだって」
「いや無理だろ」
 幼女だし。
「それどころか、お前ってかなり癒されるよな。恐怖心は消えてないが、お前の可愛らしさで相殺されるかもしれない。ちょっと頭撫でさせてくれないか」
 少年は拙い足取りながらも寄って行き、頭にポンと手を置いて、撫で撫でしてみた。
「にゃ、にゃに、を……」
 刺客は嫌がりながらも、それこそ怖くて動けないのか、為されるままになっていた。
「お、これは想像以上にいいな。歳の離れた妹可愛いとか言うけど、こんな感じだろうか」
 癒やし効果アップ! 恐怖心に勝りかけている。
 そうしていると、ふと少年は思い出した。普通は子供に甘えられるわけだが、逆に子供に甘えることで得られる快感があるらしい。最近知った。
「なあ、ちょっとお前に甘えていいか?」
「はひっ? ああああ、にゃにを言って」
 刺客はお目々ぐるぐる、もう戦闘どころではない。
 可愛がられるのも、ましてや甘えられるのも御免だと、幼女は少年の魔の手から逃れて、そのまま走り去ってしまった。つまり敗走である。
「……勝ったな」
 異能を使うまでもなく勝ってしまった。
 既にホラーの効果も消え去っている。
 しかし、あの幼女から二度と癒やしを得られないことで、寂しさのあまり恐怖すら覚えた……。

(了)


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