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黒江 うさぎさん

はじめ、まして。くろえ、うさぎと、もうし、ます。 なんでも、かきます。 けっこう、ほんとうに、なんでも、かきます。 あと、おしゃべり、にがて、です。 よろしく、おねがい、します。 Twitter→@usagi_kuroe いろんな、ところで、しょうせつ、かいてて、それを、かえんに、てつだって、もらって、ほうこく、しています。 よかったら、みて、ください。 あ、かえんは、わたしの、しんせき?きょうだい?そんな、かんじ、です。 たくさん、たくさん、てつだって、もらって、います。

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桜咲くこの場所で

17/11/04 コンテスト(テーマ):第146回 時空モノガタリ文学賞 【 デート 】 コメント:0件 黒江 うさぎ 閲覧数:122

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 桜並木が続く川沿い。
 穏やかで温かい風が吹く中、俺は歩く。
「良い天気になりましたね」
 君は、そう言って笑う。
 ころころ、ころころ、可愛いらしい笑みで。
「…ああ、そうだな」
 俺も、そう言って笑った。
 君に、ぎこちないと言われた笑顔で。
「あの日の事、覚えていますか?」
「勿論、覚えているとも」
 桜がちょうど散ってしまった日。
 本当は、もう少し早く見に行くつもりだった。
 でも俺の仕事が長引いてしまって、見に行く事が出来なかったっけ。
『来年こそ、絶対見に行きましょうね?』
 君とそう、約束をしたんだっけ。
 …あれから、五年。
 ようやく、約束の場所に来る事が出来た。
 今になってしまったけれど。
 あれから、五年が経ってしまったけれど。
 俺は、ちゃんと来たよ。
 ここに。
 君と約束した、この場所に。
 ちゃんと…ここに来る事が出来たよ。
 ひらり、ひらり。
 桜の花びらが、舞い降りる。
 手のひらを差し出すと、ふわりと乗った。
 花びらを摘まんで、陽に翳す。
「どうして、陽に翳すんですか?」
 君は、そう尋ねる。
「違う世界が、見えそうな気がして」
「違う世界?」
「ああ。
 …あったかも知れない、違う世界。
 …今と違う世界が、見える気がして」
 今と、違う世界。
 もしもの話。
 イフ。
 複雑に重なり合った運命の、僅かなズレの、その最果て。
 天文学的数値であったとしても、可能性的にはありえた世界。
 フゥと息を拭き掛け、花びらを川に流す。
 花びらはそれより前に流れていった花びら達と合流して、やがて、どの花びらが流した花びらなのか、分からなくなった。
 花びらが流れる水面に、君が写る。
 ああ。ああ。
 水面に写る、君の顔は、
 確かに、笑ってくれていたんだ。
 あの時と変わらない、笑みで。
 ころころ、ころころ、可愛いらしい笑みで。


 もう二度と見る事の出来ない、笑みで。


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