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佐川恭一さん

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性別 男性
将来の夢 ノーベル文学賞受賞
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スナイパー

17/10/24 コンテスト(テーマ):第146回 時空モノガタリ文学賞 【 デート 】 コメント:0件 佐川恭一 閲覧数:353

時空モノガタリからの選評

デートは「くだらない」「相手に気を遣ってひどく疲れる」「人間にとって本当に大事なのは自分自身の在り方」と持論を述べる「先生」。「殺人」と同レベルでデートがダメというあたりはさすがに極端ですが、初デートなどは確かに緊張もあり無自覚ストレスの元になることもあるでしょうし、彼の言っていること自体は案外正しいのではないかという気もしました。しかし偉そうなことを言っても結局ポニーテールの女の子を誘ってしまうあたり、建前と本音があまりに違う「しょうもない」男のキャラがよくでていて、クスリと笑ってしまいました。どんな理論もあまり極端に走ってしまうと、空論になっていってしまうものなのかもしれませんね。

時空モノガタリK

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――私は恋人ができたことがありません。デートしたこともありません。デートなんてほんとくだらないよ、私はね、ふと行きたくなったときに居酒屋に寄って酒を飲む、その繰り返しこそが人生であると考えています。それ以外の行為というのは全て蛇足だね。はい、その前の方。ボーダーの。

ボーダー ありがとうございます、えー、先生は居酒屋で酒を飲めればいいということでしたが、同じような考えの異性とならお付き合いができるのではないでしょうか。

――だめだめそんなの。私は気が向いたときにふらっと行くのよ、同時に気が向くような人間がどこにいるのよ。だから私には友だちもいないね。ほんとに他人どもというのはストレスのもとだから。私は長生きするでしょうね。はい、そこの、ポニーテールの。

ポニーテール は、はいっ! ご、ご指名ありがとうございますっ。私はずっと先生のファンで、ほんとに大好きで、先生の作品に救われたという思いでいっぱいで、あの、先生の気が向いたときに必ず居酒屋に付き合いますので、どうか、私とお付き合いしていただけないでしょうかっ?

――は? だーめだめ。あなたかわいいからいけると思ってるんでしょうけど、私は嫌ですよ。恋愛関係においてね、相手のいうことを全部聞いて絶対服従みたいなひとたまにいるでしょう、そういうのは重いよね。私の作品を好きといってくれるのはうれしいけど、生身の私なんか大したことないんだから、あなたはその重い感じを治して、普通の恋愛をしてください。次、そこのメガネの方。

メガネ はい、あの、ぼくは女の子と付き合いたいのですが、告白してもすぐふられてしまいます。先生も実はそうだったんじゃないでしょうか、女性と付き合えないからそういう歪んだ考えになったのではないのでしょうか。

――違いますよ。私は最初からこういう考えです。デートなんかしなくたっていかにくだらないかわかる。いいですか、あなたがたドラマで殺人事件とかみるでしょう、あれみたら実際やらなくても、殺人ってだめだなとわかるでしょう。私にしてみりゃ、そういうレベルでデートはだめなんですよ。みなさんは殺人を否定してデートは肯定する、そこの差異が私にはうまく伝わってこないんだな。

メガネ それはおかしいのじゃないでしょうか。殺人は違法ですがデートは合法です。差異はあきらかですよ。

――いいや、一緒です。法なんてのは人間が都合良く作ったものにすぎない。殺したってお咎めなし、報復もなし、という状態なら殺す。それが人間でしょう。だから法というのは国境みたいなもので、ほんとは線なんかないところに線を引く。所詮は幻想なんですよ。物事の本質を考えるときには、そんなもの抜きにしなきゃならない。そう考えたときに、殺人は相手を殺すことで結局面倒に巻き込まれる、デートは相手に気を遣ってひどく疲れる、ということで、僕にとっちゃ同じです。

(冴えない風貌の男が嗚咽をもらして泣き始める。)

――どうしましたか、そこの冴えない風貌の方。

冴えない風貌の男 すみません、僕はいま猛烈に感動しているんです、僕は女の子に相手にされず、ずっとバカにされてきました、どうすれば女の子にモテるかばかり考えるようになって、仕事も手につかなくなって辞めてしまいました、それで僕は路頭に迷っていたんです、でも教授のおかげで目が覚めました、モテるかどうかなんてどうでもいい、僕は僕なんだ、そのことだけが重要で、それ以外のことは何ひとつ重要ではないんだ!

――うーん、ちょっと違うけど、まあ間違いでもないね。結局人間にとって本当に大事なのは自分自身の在り方であって、外部からもたらされるものじゃない、というのが私の考えだから。じゃ、今日はこんなところかな。

(教授のトークショーが終わりを迎え、ゾロゾロと参加者が会場を出ていく。教授は慌ててポニーテールの女を呼びとめる。)

――ちょっと、きみ。

ポニーテールの女 は、はいっ! 何でしょうか??

――これ、これね、私の連絡先だから、なんていうか、後でもし良かったら、連絡してね、さっきはああ言ったけども、良かったら、私の方はウェルカムだから。

ポニーテールの女 え、え!? ほんとですか!? 夢みたいです、必ず連絡します、ありがとうございますっ! え、ほんと嬉しくて倒れちゃいそうなんですけど、これドッキリとかじゃないですよね?

――はっは。そんなわけないだろう、そんな心配しなくていいから、じゃあ、連絡待ってるからね。

 ポニーテールの女は深くお辞儀をし跳ねるように会場を出てニヤリと笑った。可愛らしい手帳に無数に書きとめられた「撃墜マーク」がまたひとつ増え、連絡先はゴミ箱に向けてヒラヒラと舞った。女は溜め息をついて呟いた――

 ほんま、男ってしょうもないわ。


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