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葵 ひとみさん

「フーコー「短編小説」傑作選8」にて、 「聖女の微笑み」が出版社採用で、出版経験があります。 第114回 時空モノガタリ文学賞 【 パピプペポ 】最終選考を頂きました。 第116回 時空モノガタリ文学賞 【 裏切り 】最終選考を頂きました。 心からありがとうございます。 感想、心からお待ちしています^▽^ Twitter @Aoy_Hitomi

性別 男性
将来の夢 毎日を明るく楽しく穏やかにおくります。
座右の銘 白鳥の湖、努力ゆえの優雅さ――。

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僕には神の声が聴こえる

17/10/23 コンテスト(テーマ):第147回 時空モノガタリ文学賞 【 迷い 】 コメント:4件 葵 ひとみ 閲覧数:390

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 僕は鷹取省吾。
僕には小さな頃からたまに神の声を聴く力があった。

家族や仲間の周りで僕があまりにも神の声、神の声と連呼するので、
統合失調症の幻聴の疑いがもたれていて、

 ついに23歳のある日、精神科の保護病棟に任意入院となってしまった……

入院初日の医師の診察ではいきなりリスパダールを服用させられた、統合失調症ではかなり重いタイプなのだろう、そして毎晩、エビリファイとクエチアピンとサイレースとロゼレムとシンラックを服用して眠った。

入院初日から数日が経ち、暇をもてあましていた頃に僕の1つ年上のギャンブル依存症で入院している小倉君が喫煙所で僕に声をかけてくれた、そして、
鬱病で入院している年配女性の河田さん達と3人でオセロやセブン・ブリッジなどをはじめることにたまたまなった。

僕は神の声をもっと精密に聴きたいので特にオセロでトレーニングをはじめた。
僕は定石通りには打たず、何も迷わずに直感的、いわゆるインスピレーションで打っていった、当然、定石通り打ってくる小倉君や河田さんには73%負けてしまう。

そして入院してから1週間が経ち。
僕の病状がかなり良くなってきたように主治医や看護師の方達には移ったのだろう。
僕は1人部屋から4人部屋へ移った。

4人部屋になり、ベッドの向かいで大抵いつも眠っている46歳の躁鬱病で入院している古川さんがいきなり話しかけてきた。
「小倉君と河田さんが鷹取君はオセロが弱いと言っていたよ」と。

僕の1番嫌いなタイプの人間だ、いわゆる、電車鳩の余計な御世話人間。
僕を不愉快にした上に僕と小倉君と河田さんコンビを仲違いさせたい訳だ……

しかし、僕は負けてもいいのだ、僕はインスピレーションを磨いているだけなのだから……

そして、僕は負けても「清々しい、いい負け」を目指している。

そもそも僕は精神科の保護病棟のオセロで勝っても退院してからの、実人生で勝たなければ意味はないと思っている。

4人部屋になり2週間が経ちこの窮屈な自由もない保護病棟から僕も古川さんも奇しくも同じ日の退院となった。
「鷹取君、携帯電話番号を教えてくれませんか?」古川さんがお願いしてきた……

本当は嫌で嫌でたまらないし病院の規則で個人情報はお互いに教えてはいけないのだが、
僕は古川さんに深情けで教えてあげた。

僕は御世話になった皆さまに御礼をいい特に小倉君と河田さんとも固い握手を交わして退院した。

退院してから1ヶ月ほどして僕はパソコンのプロバイダーのオペレーターの御仕事を無事に見つけて社会復帰を果たした、そして順調な毎日を送っている頃にふいに古川さんから電話があった。
「鷹取君、私はさっきハローワークへ行ってきて、新聞広告の営業の仕事か和菓子の製造の仕事かどちらに応募しようか? 迷っているところなんですよ」と。
僕はやはり古川さんだけあってまだお仕事も決まってないんだなと内心思った。

私は日々、鍛えてきた迷いを断ち切るインスピレーションで古川さんに和菓子の製造のお仕事を進めた。

古川さんは僕のその言葉に追従して、和菓子の製造の仕事に応募した。

後日、古川さんから電話があった、
「鷹取君。和菓子の製造のお仕事の面接を受けましたが落ちましたよ」と……
僕のインスピレーションもまだまだなと自戒して、
僕は無難な言葉で古川さんを慰めておいた。


その直後、僕に本当の神の声がきこえた。



「なーに、その古川とやらはどちらを受けようかと迷っていたかもしれんが同じことじゃ、どちらにも採用されんよ。
右も左も不正解で、正解はもと来た道を戻ることじゃ……
即ち、精神科の保護病棟に再入院するということじゃな」と。




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このストーリーに関するコメント

17/10/24 文月めぐ

『僕には神の声が聴こえる』拝読いたしました。
タイトルに惹かれて読みましたが、神の声が聴こえるとはなんとも不思議な主人公でした。
迷った挙句にどちらでも不正解とは悲しい結末ですね。しかし、人生そんなものかもしれない、と思いました。

17/10/25 有屋春

同じくタイトルで試しに読みました。ちょっと面白い、けど物足りない、という感想です。もう少しひねりがあるとぐっと引き込まれると思います!

17/10/27 葵 ひとみ

文月めぐ様、御拝読ありがとうございます(^▽^*)

タイトルそんなに良かったんですね(^▽^*)
この作品には、「僕には神の声が聴こえる」しかないと最初からインスピレーションがあったので(笑)心からありがとうございます。

>神の声が聴こえるとはなんとも不思議な主人公でした。

ありがとうございます(^▽^*)

>迷った挙句にどちらでも不正解とは悲しい結末ですね。
しかし、人生そんなものかもしれない、と思いました。

小説は色んな解釈があって楽しいと思うのですが、
長い人生では右でも左でもなく、
ちょっと戻って休んでみるという選択肢もあると思います。
感想、心からありがとうございます(^▽^*)

17/10/27 葵 ひとみ

有屋春さま、御拝読ありがとうございます(^▽^*)

>同じくタイトルで試しに読みました。

このタイトル好評ですよね(笑)

>ちょっと面白い、けど物足りない、という感想です。もう少しひねりがあるとぐっと引き込まれると思います!

励ましと御鞭撻、心からありがとうございます(^▽^*)

これからも、益々、ハリキりたいと思います。
感想、心からありがとうございます(^▽^*)

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