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石田ゆきさん

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禁断の、恋?

17/10/23 コンテスト(テーマ):第146回 時空モノガタリ文学賞 【 デート 】 コメント:0件 石田ゆき 閲覧数:143

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「先生、これってデートっていうのかしら?」
 少女が唐突に言った言葉に驚いて思わず足を止めた
 大きな黒い瞳がくるりと動き、わずかに頬を染めた彼女が僕を見る。
「いやいや、どう見てもデートじゃないでしょう。みんなとはぐれちゃつただけだからね。
 ほら、早く合流しないと。さ、歩いて歩いて」
 現実のままの答えを言うと彼女はつまらなさそうに頬を膨れさせそっぽを向いた。
 しかし裏腹に、繋いだ手にはぎゅっと力がこめられる。
 そのあたたかで柔らかな少女の手を握り返すとようやく渋々ではあるけれど歩き始めた。
「……先生みたいな大人からしたらわたしなんてまだまだ子供なんだね」
「うん、いや、まあ……そう、だね」
「早く大人になりたいな」
 大人びたことを言う少女に何と言っていいか返答に困って言葉に詰まる。
 二つに結んだ長い黒髪が風に揺れた。その間から見えた伏し目がちの目は真剣に悩んでいるようで。
 だからこそ適当な返事をするわけにもいかないし、かといって現実的に答えるのも幼心を傷つけてしまいそうで怖かった。
 悩むといっても僕は決して彼女に恋心を抱いているわけではない。断じて。
「ねえ、先生。わたしが卒園したらひとりのおんなとしてみてくれる?」
なぜなら君ははまだ幼稚園の年長さん。
 年の差どうこうという以前に君を女性としてはまだまだ見ることができない。
 心は立派な女性だったのだとしても、だ。
「ごめんなさい、困らせてるよね。返事は今すぐじゃなくてもいいの。
 卒園してわたしが先生のせいとじゃなくなったら……返事をきかせて」
一体何のドラマの影響か。最近の子はませている。
 やや辿々しくはあるが、教師と教え子の禁断の恋のドラマさながらのセリフを一丁前に言ってのける年長児に僕は内心舌を巻いた。


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