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ちりょう なひろさん

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穿つ僕の心に返り咲く君

17/10/17 コンテスト(テーマ):第117回 【自由投稿スペース 】 コメント:0件 ちりょう なひろ 閲覧数:100

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 寒空が広がる街並みにはたしかな喧噪があって一人歩く僕にはなによりの孤独が纏わりつく。
 僕は今日もひとりだった。
 横断歩道の向かいから来る君は楽しそうに僕の知らない男の腕に体を絡め歩いてくる。
 僕は必死に下を向くけれど一度瞳に張り付いたその光景はなかなか消えてはくれなかった。
 下を向いているつもりが彼女たちを見遣り追ってしまうのはどうしてなのかなんて、簡単な思考が残されていないのは、僕がまだ彼女を愛していた証明に他ならないだろう。
 僕はいま、どんな顔で彼女たちを見ている?
 もしかしたら薄気味悪い笑みを浮かべてしまっているかもしれない。余裕など一切ないにも拘わらず。
 そんな強がりは必要としていないのに、もしも今彼女が僕に気付いて声でもかけられなんてしたら、僕はその侮辱に溺れて死んでしまう。
 頼むから、頼むから声を掛けてこないでください、と僕は祈りながら彼女たちとの距離を詰めていく。
 踵を返すことが出来ないのは勇気がない証拠で他人であることの必定を信じてやまない。
 僕と彼女が交差する。
 僕はいま、どんな顔をしているだろう。
 それが悲壮に溢れながらまっすぐ前を見れていたならどんなに良かったことだろう。
 僕と彼女とが交差する瞬間。目が合って、彼女は変わらずに彼に対し笑顔を崩さなかった。
 それは立派なことで、そんな彼女が美しく。
 その笑顔が僕に向いていないというその現実と過去。
 僕に咲かせた君の表情が重なった。


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