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世界樹の塔と不死鳥の種

17/10/10 コンテスト(テーマ):第146回 時空モノガタリ文学賞 【 デート 】 コメント:0件 リードマン 閲覧数:67

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“狩人”
決まったカタチをもたない、無意識の塊。コレクター気質。最近のご馳走は“死者の吐息”。

私達の暮らす塔に、また奴らがやって来た。
“夢の旅人”とは永遠の生者である一方、数え切れぬ程の“死”を通過している死者でもある。
奴らにとっての格好の標的足りえるのだ。
今日この頃は恋人達の家族を招いてのお家デートの真っ最中である。
家主でもあり番人でもある私は、唯一の入り口に寝床を作り、奴らの襲来に備えていた。

このまま塔の中に立ち入らず、去って行くなら、敢えて戦うまい。
息を潜め、じっと奴らの様子を伺う。

通常、死者は呼吸などしない。奴らは、新たに生者が産まれると我先にと取りつき、死者へと変わる瞬間の一息をじっと待つのだ。人によっては彼等を“守護者”とよび、また“死神”とよぶ。

一匹の“狩人”が私の背中へとよってきた。途端ゾッとするような寒気と怖気がする、奴らの常套手段だ。まずは“恐怖”で責めてくる。やつらは基本的になんでもできる。ただあまり無駄を好まないらしく、てっとりばやく一番効率の良い手段で責めてくるのだ。しかし私は慣れているので、こんな事では息を漏らさない。くれてやってもいいのだが、奴らは直ぐに味をしめてまとわりつくから面倒なのだ。

私以外の“旅人”にとっては“石”に代わってしまいかねない天敵でもあるし、この塔の中には奴らが欲しがるだろう“宝物”も山程ある、その内の一つを握りしめて、奴らが諦めて去っていくのを待ってみる。ありとあらゆる手練手管で私から吐息を引き出そうとする奴ら、幼稚なものから高度なまで種類も様々だが、今夜の“狩人”はマズかった。性的な手段に訴えだしたのだ。

途端あらゆる極上の快楽が私を刺激する。しかし、よりにもよって何故、今回に限ってとにかくマズイ、恋人達にバレてみろ。今度こそ、殺される!!

仕方がないので、私は飛び起きて、握っていた“不死鳥の種”を解放した。頬が若干紅潮しているのは勘弁して下さい。ホントにごめんなさい。

この塔に暮らす不死鳥の尾羽になる種、それは持ち主の望むままに姿を変える。万能の結晶なのだ。
今宵の姿は“剣”。奴らの持つ“鎌”は言うまでもなく“闇”属性。“不死鳥の剣”は命輝く“光”の剣。
僅か一振りで、塔に現れた“狩人”は全て雲散霧消した。

深夜に輝く剣を使った代償は重かった。あまりの眩しさに飛び起きた恋人達は、せっかくだからと、何がせっかくなのかわからない何度目になるかわからない酒宴に突入してしまったのだ。当然のように、私ももう眠れない、シクシク。

なんでもお見通しの恋人達に隠し事など出来る訳もなく、“狩人”とのなんやかんやは一切がバレた。
ああ、私は本当に“夜”が怖い!!


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