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大きな事件が起きるたび

17/10/09 コンテスト(テーマ):第144回 時空モノガタリ文学賞 【 事件 】 コメント:0件 mokugyo 閲覧数:43

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「何か大きな事件が起きるたびに、その情報を追ってしまう。とかく、自分自身の好奇心をどうにかしたいものだ。先日も、大都市で500人以上が犠牲になる銃乱射事件が起きた。こんなことはあってはならない。そう思うのと同時に、なぜ犯人はこんな事件を起こしたのか?動機は?手段は?思わずネットで検索してしまう。ああ、どうにかしたいものだ」

私は道端で独り言をつぶやきながら歩いていた。

「うるせーこの野郎!」

そう言われて私は見ず知らずの男にぶん殴られた。しかも執拗に何発もぶん殴られた。銃でなくてこぶしであったのが、せめてもの幸いであった。

見ず知らずの男は去っていった。

ああ、血が出ている。これは立派な傷害事件だろう。しかし、私が小さな町の片隅で見知らぬ男に殴られても、そんなものは事件でも何でもないのだ。きっと、私が警察にうったえても、警官は面倒くさそうに対応するだろう。そんなかすり傷さっさと忘れてしまえという表情で私を見るに違いない。

そうだ。私が大きな事件にばかり惹かれていたがために、私自身が小さな事件に巻き込まれていることに今さらながら気付いたのだ。しかし、小さな事件は、それはもう事件とは言えない。

ここに事件はなかった。

ここに事件はなかった。

それはとても素晴らしいことだ。

(終)


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