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C Police incident report No.1394

17/10/08 コンテスト(テーマ):第144回 時空モノガタリ文学賞 【 事件 】 コメント:0件 みや 閲覧数:152

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私がCポリスに配属されてから一年が経ったが、こんなに残忍な殺害現場は久しぶりだった。住宅街の道路に無造作に転がっている遺体は水責めにされていて、鈍器で何度も強打され内臓が飛び出していた。遺体を確認した私は掛けられていたブルーシートをもう一度掛け直した。

先に駆けつけていた犯行現場近くの派出所の警察官が私に近寄って来た。
「お疲れ様です。通報者は遺体発見現場の道路の目の前の家の隣家の住人です」
「先にその通報者から話しを聞こうか」
犯人は遺体が転がっていた道路の目の前の家の住人であろうと目星は付いていたが、私達は取り敢えず通報者である犯人であろう人物の家の隣人に話しを聞く事にした。周りの証言から固めれば犯人は犯行を認め易いからだ。

「私びっくりして…」
通報者は犯行現場を目撃していたらしい。
「お隣りの奥さんいつも穏やかなのに…本当に恐ろしかったです」
「詳しく聞かせて下さい」
「私が買い物から帰った時に隣りの奥さんが玄関に並べているお花に、側に置いているバケツに貯めているお水を柄杓であげていたんです。挨拶をして私が家に入ろうとしたら奥さんが急に悲鳴を上げて…来ないでと叫びながらあいつに水をかけていました。私はやめた方が良いと止めたんですけど…」
「隣りの奥さんは興奮状態だった…」
「はい、普通の状態では無かったと思います。あいつを見て…パニックの様な感じでした」
「水をかけてそれから?」
「それから柄杓であいつを殴り始めました。私は危険だと思い家の中に入ってすぐに110番してもう一度外に出てみると、あいつは…既に死んでいて、奥さんは放心状態で家の中に入って行きました」
「ご協力誠にありがとうございました」
「いえ…奥さん大丈夫ですよね?正当防衛ですよね?」
私達は何も言わず一礼をして通報者の家を後にし、次は犯人であろう人物の家のインターホンを押した。

暫く待っていると恐る恐る犯人であろう人物の家のドアが開いた。
「すいません警察の者ですが、お宅の家の前の遺体についてお聴きしたい事があります」
その家から出て来た上品そうな中年の女性は身体が微かに震えていて顔は青ざめていた。
「…二、三日前からあいつがうちの周りをうろついていたんです。私、怖くなって警察にも通報したんですよ⁉早くあいつを捕まえてくれって」
「確かに奥さんからの通報で、私達もパトロールを強化していたのですが…とにかくすばしっこい奴なので捕まえる事が出来ず…」
派出所の警察官が申し訳なさそうに言った。
「警察が早く捕まえてくれていればこんな事にならなかったのに…そうよ私が殺したのよ…私が…」
上品そうな中年の女性は恨めしそうに言った。

「法律で定められているので、貴女には今から署まで同行して頂きます」
私は犯行を認めた犯人である上品そうな中年の女性にスーツのポケットから取り出した手錠をかけた。パトカーに乗り込むと犯人はさめざめと泣き始めた。
「どうして私が逮捕されなきゃならないんですか…悪いのはあいつでしょ?人の家の周りををうろついて隙があれば家の中に浸入しようとする…あいつにも不法浸入罪を適応してよ!大体見た目が不気味なのよ、気持ち悪いのよ!あいつに生きてる意味なんて無いのよ!」
「それ以上仰ると侮辱罪も適応されてしまいますよ」
「何よ…何なのよ!たががゴキブリのくせに!」
犯人は嗚咽を上げて号泣した。

一年程前に海外の有名な生物学者の論文によってコックローチ(ゴキブリ)の身体の成分が認知症の予防に非常に効果があるという事が立証された。まだ治験の段階だか、そのおかげで害虫の中でも断トツで忌み嫌われていたコックローチは政府からの保護の対象となった。今ではコックローチを殺した者は刑期一ヶ月、罰金十万円の罰が科せられる事になる。

「本当に気の毒です。今まで普通に殺しても罪に問われる事なんかなかったのに、急に殺したら罰せられるなんて言われてもね」
事件が解決し、一緒に入ったラーメン屋でラーメンをすすっていた派出所の警察官は憤りを感じている様だった。
「確かにそうだな…しかし見た目がグロテスクだからと言って、無闇に殺生を繰り返していた人間にも問題があるんじゃないか」
そう言った私の視界の片隅で黒い物体が蠢いた。私はテーブルに置いてあった新聞を丸めて殺したい衝動に駆られた。が、理性でそれを押さえ持ち歩いている虫かごにコックローチをなんとか追い込み確保する事に成功した。
「一匹捕まえれば三千円の感謝料が貰えるんですよね…しかし見れば見る程やっぱり気味が悪いですね。殺意を覚えます」
「これが認知症予防になると言われても…とても食べる気にはなれないな」
私は食欲が一気に失せて食べていたラーメンを殆ど食べ残した。コックローチポリス、通称Cポリスの前途は多難だー


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